【結論】昭和基地の食事は、1年分の食材を一度に運び込むほぼ冷凍食材の献立です。生野菜だけは基地内の水耕栽培でわずかに採れます。
補充はできません。
途中で足りなくなっても、次の船が来るまで待つしかない世界です。
実際に第55次隊では、コーヒーが約1か月切れたことがありました。
証言しているのは、第55次隊と第61次隊で調理担当を務めた竪谷博(たてや・ひろし)さん。
2026年9月28日(月)22時24分から日本テレビ「Switch-背中を押してくれたあの人-」に登場します。
- 食材は1年分を一度に冷凍庫へ。溶けないよう急いで入れるため整理は後回し
- 作るのは朝昼夕に加え、屋外作業者の弁当と深夜勤務者の夜食
- 隊員のリクエストで多いのは刺身・寿司・焼肉・ラーメン・うどん・パスタ
- 6月下旬のミッドウィンター祭ではフランス料理のフルコースが恒例
- 生野菜は6畳ほどのスペースの水耕栽培のみ。収穫量はごくわずか
- 基地内では物々交換が成立している。歯磨き粉とコーヒーを交換した例も
- 昭和基地の食材の運び方と献立の立て方
- 行事食(ミッドウィンター祭・おせち・誕生日)の中身
- 番組が南極の映像をどう使うかの考察
- 食材が尽きたときに基地で起きること
竪谷さんは旅行メディアのインタビューと、越冬中の連載で南極の食事を細かく語っています。
番組表には食事の話は出てきませんが、公開情報だけでもかなり具体的に分かります。
先に編集部の考察、そのあと中身を整理します。
【考察】番組が南極時代の映像を使うなら、ミッドウィンター祭のフレンチだと予想する
ここからは編集部の考察です。
6分の枠で南極パートに割ける時間はわずかですが、編集部は、使われるならミッドウィンター祭のフランス料理フルコースの場面だと予想します。日常の食事より、はるかに絵になるからです。
そう考える理由を6つ挙げます。
理由1。本人がこの場面に感情を語っているからです。
「55次隊のときは初めて作ったので、料理を出すときに少し緊張しましたが、喜んでもらえたので嬉しかった」と振り返っています(たびよみ)。
番組が欲しいのは気持ちが動いた瞬間です。
理由2。説明が短くて済むからです。
ミッドウィンター祭は南極の冬至にあたる6月20日頃に、世界中の基地で一斉に開かれます。
「南極の夏至の裏返し」と一言添えれば伝わる行事で、6分枠と相性が良いです。
理由3。絵の情報量が多いからです。
テーブルセッティングまで本格的に整え、竪谷さんが飲み物の説明をしている様子も記録されています。
カレーや鍋の日と違い、画面が一目で特別だと分かります。
理由4。行事の目的が食の役割を説明してくれるからです。
この祭りは、日が昇らない極夜期に気が滅入らないよう開かれるものだと竪谷さんは説明しています。
食事が心を保つ仕事だという番組の主題に、そのまま接続できます。
理由5。料理人としての腕が最も出る場面だからです。
普段はボリュームがあって目でも楽しめる家庭的な料理が喜ばれる、と本人は語っています。
そのなかでフルコースは例外的に技術を見せる回。転身の物語に説得力を足します。
理由6。本を見ながら作ったという逸話があるからです。
フランス料理のフルコースは食べたことがないから食べさせてほしい、と隊員に言われ、本やレシピを見ながら作ったと明かしています。
プロが手探りで挑んだというくだりは、キャリアチェンジの番組にぴったりです。
理由7。本人が連載でも1回分を丸ごと使っているからです。
幻冬舎plusの連載には2020年9月30日公開の「今夜はミッドウィンター特別晩餐会」という回が立っています(幻冬舎plus)。
越冬中の出来事は数多いのに、この行事には独立した1回が与えられています。本人にとっての比重がうかがえます。
以上から、南極パートの映像はミッドウィンター祭が有力だと予想します。
ただし番組が実際に何を使うかは公表されていません。あくまで編集部の推測で、日常の厨房風景だけで構成される可能性もあります。
1年分の食材をどう運び、どう使うのか
昭和基地に着いたら、まず積み込んできた1年分の食材を冷凍庫に入れます。
溶けないように手早く入れる必要があり、竪谷さんの表現では、まさに「突っ込む」という状態。
整理整頓までは手が回りません。
箱には中身が書いてあるものの、別のものが紛れていることもあるそうです。
そのため最初は目の前にあるものから使い、慣れてきたら1週間分の献立を立てて順番に解凍していく方式に切り替えたといいます。
| 項目 | 昭和基地での実態 |
|---|---|
| 食材の形態 | ほぼ冷凍食品。野菜も冷凍状態で持ち込む |
| 補充 | できない。多めに持ち込むが予算の制約もある |
| 発注の根拠 | 過去の観測隊の発注資料+出発前の隊員アンケート |
| 作る食事 | 朝食・昼食・夕食+屋外作業者の弁当+深夜勤務者の夜食 |
| 献立の組み方 | 慣れるまでは在庫優先。その後は1週間分を先に決める |
| 生野菜 | 6畳ほどのスペースで水耕栽培。キュウリ・カイワレ・トマトなど |
ただし1週間分の計画も、途中からは崩れていったそうです。
前の晩に飲みすぎた日は「予定ではカツ丼だけどそうめんにしよう」といった具合。
後半はさっぱり系とこってり系、和食と洋食の二通りを用意して、どちらにも対応できるようにしていたといいます。
南極の食事をもっと知りたい方へ。
昭和基地の食卓を題材にした本や映像作品が出ています。
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隊員に人気のメニューと行事食
リクエストが多かったのは刺身・寿司・焼肉・ラーメン・うどん・パスタ。
結局は普段食べているようなものがローテーションになっていく、と竪谷さんは話しています。
ただし同じラーメンでも、味噌・しょう油・担担麺・海鮮塩味とバリエーションをつけて飽きさせない工夫をしていました。
南極は自然こそ美しいものの、日本のような四季の変化がありません。
そのなかで一番はっきり変化をつけられるのが食事だ、という考え方です。
| 行事 | 出される料理 |
|---|---|
| ミッドウィンター祭 | 6月20日頃に5日間ほど開催。フランス料理のフルコースが恒例 |
| お正月 | 和食業者から購入した冷凍食材でおせち。一人ずつお重に詰めて特別感を出す |
| お正月(61次隊) | 相方が中華の料理人だったため、テーブルごとに中華系と和食系を並べるビュッフェ形式 |
| 誕生日 | 本人に希望を聞いて対応。寿司の握り方を教わりたいという要望も |
誕生日のリクエストには「スパゲッティーのミートソースを好きなだけかけて食べてみたい」といったものもあったそうです。
そうした要望を言いやすい空気を作ることも大事な仕事だと考え、雰囲気づくりにも気を配っていたといいます。
よくある質問(Q&A)
Q1. 食材が足りなくなったらどうするのですか?
補充はできません。
第55次隊ではドリップ式のコーヒーが4〜5か月で尽き、その後インスタントも無くなって約1か月コーヒーがない期間があったと語られています。
個人でコーヒーを持ち込んでいた隊員から、歯磨き粉と交換で分けてもらう例もあったそうです。
Q2. 生野菜は食べられますか?
ごくわずかです。
基地内の6畳ほどのスペースに棚を置き、キュウリ・カイワレ・トマトなどを順番に育てています。
ただし収穫量は少なく、竪谷さんは「水耕栽培のスペースがもっと欲しい」と話しています。
Q3. 調理担当は何人いるのですか?
通常は2名です。
ただし竪谷さんが参加した第55次隊は越冬隊24名に対して調理担当が本人1人だけでした。
第61次隊では通常どおり2名体制で、越冬隊は30名です。
Q4. 隊員からの要望は直接来るのですか?
遠回しに伝わってくることが多かったそうです。
「最近、味が薄いよね」「辛い料理が少ないね」といった言い方や、話の上手な隊員が「こんな声があるけど」と間に入る形。
お風呂で髪を洗いながら「そろそろ甘いものが食べたいなぁ」と言われることもあったといいます。
Q5. どんな食材が人気でしたか?
出発前のアンケートで意外に多かったのが納豆だったと語られています。
コーヒーも想定以上に消費が早く、発注量の読みが難しい品目でした。
Q6. 越冬中の記録は読めますか?
読めます。
幻冬舎plusの連載「料理人タテヤの南極日記 #JARE61」に、氷山流しそうめんや餅つき大会、つけ麺屋台、焼き立てパンといった回が残っています(幻冬舎plus)。
番組で注目したいところ
今回の番組はキャリアチェンジを扱う枠なので、南極の食事そのものが主題になるとは限りません。
それでも転身の象徴として厨房の映像が入る可能性は高いと考えられます。
竪谷さんは南極を経て、素材の良さを殺さないように料理し、新鮮なうちに早く食べてもらいたいという思いが強くなったと語っています。
この変化が現在の店にどうつながったのか。そこが語られるかどうかも見どころです。
まとめ
昭和基地の食事は、1年分の冷凍食材を一度に運び込むところから始まります。
補充はできず、生野菜は基地内の水耕栽培でわずかに採れるだけです。
作るのは朝昼夕に加えて弁当と夜食。
人気は刺身・寿司・焼肉・ラーメンなど普段の料理で、行事ではミッドウィンター祭のフレンチやおせちが振る舞われます。
語り手の竪谷博さんが登場するのは9月28日(月)22時24分から、日本テレビ「Switch」。
南極の厨房がどう描かれるか注目です。