【結論】m-DAC(エムダック)は、CO2を通しやすい極薄の膜に空気を通して、CO2だけを集める技術。薬品も熱も使わないので、装置を小さくできるのが特徴です。
10月7日(水)午後11時6分から放送の
テレビ東京「アンパラレルド〜ニッポン発、世界へ〜」。
番組紹介には
「会議室の『ハァ〜』からレタスが育つ⁉」
「ラップより薄い膜でCO2を回収する新技術」
という気になる言葉が並びます。
この技術がどういう仕組みなのかを、公式発表や開発者のインタビューからまとめます。
- 膜の厚さは約30ナノメートル(食品用ラップの300分の1)
- 空気を膜に通すだけでCO2を選んで集める
- 熱も水も使わないので装置を小さくできる
- 九州大学が開発し、Carbon Xtractが実用化を進める
- 集めたCO2は野菜の栽培や燃料などに使える
- m-DACの仕組み
- これまでのCO2回収との違い
- 「ハァ〜」からレタスの正体
- 番組で注目したいポイント
【考察】番組のキモは「小さいこと」が生む使い道の広さ
ここからは編集部の考察です。
番組がm-DACで一番伝えたいのは、膜の薄さそのものより、
「装置が小さいから、CO2を使う場所のすぐそばで集められる」という点だと考えます。
理由を7つ挙げます。
理由1。これまでのDACは巨大だったからです。
Carbon Xtractの森山哲雄社長は、化学吸着型のDACは吸着剤を加熱する装置が大きくなりがちで、数十メートル四方のプラント設備が必要だったと説明しています(デジタルグリッド)。
理由2。m-DACは机に置けるサイズから始まったからです。
同じインタビューで、ラボの試作機は机の上に置けるサイズからスタートし、将来はコンテナサイズや家電サイズまで作り分けることを目指していると話しています。
理由3。使う場所がそもそも分散しているからです。
JA全農などとは施設園芸、つまりビニールハウスでの活用に向けて協定を結んでいます(JA全農)。
全国に散らばるハウス1つ1つに置くには、小さい装置でなければなりません。
理由4。「ハァ〜」からレタスは、ビルの中の話だからです。
清水建設の拠点では、会議室の空気からCO2を取り出し、施設内の植物栽培プラントに送る実証が行われています(BuildApp News)。
人が吐いた息のCO2を、その場で野菜に回す流れです。
理由5。番組紹介も「装置の小型化」を強調しているからです。
番組表は、この膜が空気をろ過するようにCO2だけを引き寄せ、装置の小型化を実現したと紹介しています(番組表.Gガイド)。
理由6。故障に強いという利点もあるからです。
森山社長は、大きなプラント1つだとトラブル時のリスクが大きいが、小さなモジュールを多数置けば一部が壊れても全体は動き続けると話しています。
サーバーを分散させて止まりにくくするのと同じ考え方だそうです。
理由7。場所を選ばないからです。
m-DACは加熱のエネルギーも水も使わないため、極端に言えば電源さえあれば砂漠でも高山でも海の上でもCO2を回収できる、と森山社長は話しています。
一方、世界の大型DACプラントは熱や水を大量に使い、広い土地が必要だと指摘しています(The INDEPENDENTS)。
7つを合わせると、番組のm-DACは「どこにでも置ける小さなCO2回収機」として紹介されると予測します。
実際の内容は放送まで分かりません。あくまで考察です。
m-DACの仕組み|空気を「ろ過」する
m-DACはmembrane-based Direct Air Captureの略。
「膜を使って、空気から直接CO2を回収する」という意味です。
開発者側の説明をまとめると、仕組みは次の3つです(デジタルグリッドのインタビュー)。
- 膜には分子サイズの細かい穴があり、CO2が通り抜けやすい
- 膜の素材がCO2となじみやすいため、CO2を優先して通す
- 膜の裏側を弱い真空にして、CO2を吸い出す
空気中のCO2はわずか約0.04%。
膜を通すことで濃度を上げ、膜を何段か重ねれば数%から数十%まで濃くする設計も原理的には可能だそうです。
これまでのCO2回収との違い
| 項目 | これまでの方式 | m-DAC |
|---|---|---|
| CO2のつかまえ方 | 薬品や吸着材にくっつける | 膜に通して選り分ける |
| 取り出すとき | 高温に加熱する | 加熱しない(ポンプで吸う) |
| 水 | 使う方式もある | 使わない |
| 装置の大きさ | 大型プラントになりがち | 机サイズから作れる |
※森山社長のインタビュー(デジタルグリッド)をもとに編集部で整理しました。
「ハァ〜」からレタスの正体と、CO2の使い道
Carbon Xtractは清水建設・双日と組み、東京都江東区の温故創新の森NOVAREにm-DACを試験導入しました。
会議室の空気からCO2を集め、施設内の植物栽培プラントへ送ります。
CO2の濃度が高いと光合成が進み、植物の育ちが早くなることが期待されています。
回収したCO2は、ほかにも炭酸水や炭酸シャワーの原料、コンクリートへの固定、メタンなどの燃料への変換といった使い道が考えられています。
番組表によると、大阪・関西万博では都市ガスの代わりに使う展示も行いました。
家庭でいちばん身近な「CO2の使い道」といえば炭酸水。
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よくある質問(Q&A)
Q1. m-DACの読み方は?
一般的にはエムダックと読まれています。
Q2. 膜の薄さはどれくらい?
番組紹介によると約30ナノメートルで、食品用ラップの300分の1です。
Q3. 誰が開発したの?
九州大学の藤川茂紀主幹教授らの研究チームです。実用化はCarbon Xtractが進めています。
Q4. 家庭用はある?
家庭向けの販売は発表されていません。
Q5. どのくらいCO2を集められる?
回収量の具体的な数字は、公表資料では確認できませんでした。
Q6. 番組はいつ?
テレビ東京で10月7日(水)午後11時6分〜11時55分です。
まとめ
m-DACは、極薄の膜で空気をろ過するようにCO2を集め、熱も水も使わずに小さな装置で回収できる技術です。
番組では、集めたCO2がレタスや燃料に変わる流れに注目です。
「アンパラレルド」は10月7日(水)午後11時6分からテレビ東京で放送です。