【結論】あさくまの再生術は「老舗のこだわりを捨てて、ライバルの良いところを素直に取り入れた」こと。45種類のサラダバーがその象徴です。
結果は数字に出ています。
2026年4月期の売上は100億45百万円で28年ぶりに100億円を突破。
「ステーキのあさくま」の既存店売上は38か月連続で前年超え、直近3か月は120%超が続きました。
放送は2026年9月24日(木)23:21、テレビ東京「カンブリア宮殿」。
ゲストはテンポスホールディングス社長の森下篤史さん(79歳)です。
- あさくまは1962年、愛知県日進町で始まった郊外ロードサイド店の先駆け
- 1991年に101店まで拡大→牛肉輸入自由化と低価格競争で30店ほどに縮小
- 2006年12月テンポスバスターズと資本提携、2011年に子会社化
- 再生の柱は45種類のサラダバー・ホットバー・肉の日のサーロイン50%増量
- 既存店売上38か月連続前年超え、2025年11月〜2026年1月は123.7%・120.1%・126.9%
- 2026年4月期は売上100億45百万円(16.0%増)・営業利益5億19百万円(179.5%増)
- 新業態「カレーのあさくま」、21年ぶりの大阪出店(2026年2月・西梅田)
- あさくまが沈んだ理由
- 再生のために何をしたか(施策一覧)
- 数字で見る回復の推移
- 番組で語られそうな「再生術」の中身の考察
番組表は「かつて、深刻な経営危機に直面していた」「45種類のサラダバーなどの戦略で見事なV字回復へと導いた」と書いています。
その中身を、決算資料と報道で確かめます。
まずは編集部の考察からです。
【考察】再生術の核心は「利益率を下げてでも客を戻す」判断だと予想する
ここからは編集部の考察です。
番組が「驚きの再生術」と呼ぶものの本質は、目先の利益率を犠牲にして「また来たい理由」を積み上げるという、外食の常識と逆の判断だと予想します。
有価証券報告書の言葉づかいが、それを裏づけているという読みです。
そう考える理由を10挙げます。
理由1。会社自身が「利益率最大化とは逆方向」と書いているからです。
2026年4月期の有価証券報告書に、肉の日の50%増量や食べ放題を「利益率最大化とは逆方向のこれらの選択を、お客様が『また来たい』と思う理由を積み重ねる投資として続けております」とあります(テンポスHD有価証券報告書)。
会社の公式文書に方針として明記されています。
理由2。サラダバーは競合の真似だと投資家が指摘しているからです。
名古屋の長期投資家は「ブロンコビリーの強みは、やはりあの充実したサラダバーです。『あさくま』はそこをかなり素直に取り入れて」と語っています(マイナビニュース)。
独自性より客が求めるものを優先した判断です。
理由3。「老舗のプライドを捨てた」と評されているからです。
同じ記事の見出しは「老舗のプライドを捨て、業績は復活した」。
1980年代にはロイヤルホストをしのぐ高級感があった店が、その看板を下ろしたのが転機です。
理由4。客単価と注文率で効果を測っているからです。
報告書は「当該日の客単価とステーキ注文率は通常時を大きく上回りました」と書いています。
増量はばらまきではなく、計測された投資です。
理由5。3年以上毎月続けた結果だからです。
「一過性の好況ではなく、3年以上にわたり毎月前年を超え続けてきた積み重ね」と会社は説明しています。
38か月連続は、一発の施策では出ない数字です。
理由6。無配を続けているからです。
自己資本比率は70%、実質無借金でも配当しないと報じられています。
稼いだ現金を出店と店の磨き上げに回す姿勢で、これも「目先より次」の判断です。
理由7。人にも投資しているからです。
報告書には「特定技能ビザ外国人の採用・育成を進め、外国人社員からマネージャーを抜擢」とあります。
店の再生を人の再生とセットで進めています。
理由8。森下さんの本業が「潰れた店」を知る仕事だからです。
番組表に「日本一潰れた店を見てきた」とあり、テンポスは閉店した店から厨房機器を買い取る商売です。
潰れる店は客を減らしてから利益を削るという順番を、誰よりも見てきた人です。
理由9。本人が「徹底」を経営者の仕事と言っているからです。
中日新聞の講演記事で「経営者がやることは、社員に『徹底させること』に尽きる」と語っています(中日新聞)。
サラダバーの品数も肉の日も、毎月やり続けることが前提です。
理由10。新業態も低価格帯だからです。
「カレーのあさくま」は牛すじカレーが700円台と報じられています。
高級ステーキ店だった会社が、気軽に通える価格に軸を移したことが一貫しています。
以上より、再生術の核心は「利益率より来店理由」だと予想します。
ただし番組で森下さんが何を語るかは分からず、これは公開資料からの推測です。
あさくまが沈んだ理由
あさくまは名古屋のステーキチェーンで、割烹旅館がルーツです。
1962年に愛知県日進町赤池で「ドライバーズコーナーキッチンあさくま」を開き、郊外ロードサイド店の先駆けになりました(Wikipedia)。
| 時期 | できごと |
|---|---|
| 1948年 | 愛知県日進村に「合資会社割烹旅館朝熊西店」設立 |
| 1962年 | 赤池に「ドライバーズコーナーキッチンあさくま」開設。郊外ロードサイド店の先駆け |
| 1968年 | 名古屋市港区に日本初の「セントラル・キッチン・センター」 |
| 1991年 | 101店に到達 |
| その後 | 牛肉輸入自由化、低価格業態の台頭で縮小。一時30店ほどに |
| 2006年12月 | テンポスバスターズと資本・業務提携 |
| 2009年6月 | 森下篤史さんがあさくま代表取締役に |
| 2011年4月 | テンポスの子会社に(保有比率52.57%) |
| 2019年6月27日 | ジャスダック上場 |
名古屋の投資家はこう振り返ります。
「昔のあさくまは本当に高くて、庶民にとってはちょっとしたぜいたくでした。それが牛肉自由化で安いアメリカ産牛肉が広がり、ファミレスでも気軽にステーキが食べられるようになると、一気に競争が厳しくなった」。
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再生のために何をしたか
有価証券報告書と報道から拾える施策を並べます。
合言葉は「お客様にびっくりしてもらう」です。
| 施策 | 内容 |
|---|---|
| サラダバー | 番組表によれば45種類。ブロンコビリーの強みを素直に取り入れた。当初はグループの古い機械を使い店ごとにばらつきがあったが、設備がそろってきた |
| ホットバー | 既存店に導入 |
| 体験型デザート | 既存店で展開 |
| 肉の日 | 毎月、価格据え置きでサーロインステーキを50%増量。客単価とステーキ注文率が通常時を大きく上回る |
| 食べ放題イベント | 21店舗で実施 |
| 人材 | 特定技能ビザ外国人の採用・育成。外国人社員からマネージャーを抜擢 |
| 新業態 | 「カレーのあさくま」(大須店ほか)、「厳選もつ酒場エビス参幡ヶ谷店」 |
| 出店 | 桑名店・鈴鹿店。2026年2月20日に21年ぶりの大阪出店「西梅田ハービスプラザ店」 |
投資家の評価はこうです。
「老舗としての変なこだわりを捨てて、ライバルの良いところを取り入れたことが、今の業績につながっている」。
一方で「古い店舗はリニューアルが遅れていて」と、店舗ごとの差も課題として挙げています。
数字で見る回復
| 指標 | 数字 |
|---|---|
| 売上高(2026年4月期) | 100億45百万円(前年比16.0%増)。28年ぶりの100億円突破 |
| 営業利益(同) | 5億19百万円(179.5%増) |
| 既存店売上 | 「ステーキのあさくま」業態で38か月連続前年超え |
| 直近3か月 | 2025年11月 123.7%/12月 120.1%/2026年1月 126.9% |
| 財務 | 自己資本比率70%、実質無借金。配当は無配 |
よくある質問(Q&A)
Q1. あさくまはどこの会社ですか?
本社は名古屋市天白区のステーキレストランチェーンです。東海地方を中心に店舗があり、東証スタンダード上場(証券コード7678)。親会社はテンポスホールディングスです。
Q2. 森下篤史さんは今もあさくまの社長ですか?
いいえ。2009年6月にあさくま代表取締役となりましたが、現在は取締役(2023年6月〜)で、社長はテンポスホールディングスの代表取締役社長です。番組表の肩書きも「テンポスホールディングス 社長」です。
Q3. サラダバーは本当に45種類あるのですか?
「45種類」は番組表の紹介文の数字です。有価証券報告書は「サラダバーの充実」とだけ書いており、店舗や時期で品数は変わる可能性があります。
Q4. ブロンコビリーとの違いは?
投資家の見方では、ブロンコビリーは店舗の統一感や改装に堅実に投資する保守的なタイプ、あさくまは競合の長所を柔軟に取り入れ、都市型店や新業態も含めて積極的に拡大するタイプです。
Q5. 「カレーのあさくま」とは?
あさくまで人気のカレーを主役にした新業態です。有価証券報告書に「カレーのあさくま大須店」の出店が記載され、報道では牛すじカレーが700円台とされています。
Q6. 大阪にも店がありますか?
2026年2月20日に「ステーキのあさくま西梅田ハービスプラザ店」がオープンしました。21年ぶりの大阪出店で、大阪市内では初出店です。
Q7. 放送日は?
2026年9月24日(木)23:21〜翌0:10、テレビ東京「カンブリア宮殿【飲食店の救世主!79歳・名物社長が明かす“驚きの再生術”とは!?】」です。
今後の見通し
番組は「現場に乗り込み」再生した様子を描くとしています。
放送ではサラダバーと肉の日の映像が中心になると見ています。
本記事は放送前の公表資料に基づくもので、放送内容を保証するものではありません。
まとめ
あさくまは101店から30店ほどに縮んだ老舗でした。
テンポス傘下でサラダバー、肉の日の50%増量、食べ放題を重ね、38か月連続の既存店前年超えと28年ぶりの売上100億円を達成しました。
再生術の核心は「利益率より来店理由」、というのが編集部の考察です。
放送は9月24日(木)23:21・テレビ東京。