【結論】北海道の秋鮭は、稚魚が育つ海の環境が変わったことで大きく減っています。2025年の漁獲は2024年の約3分の1で、2026年はさらに半減する予測です。
TBS系「情熱大陸」10月4日(日)よる11時15分の放送は、
北海道斜里町で秋鮭を追う第二十一北洋丸と代表・伊藤正吉さんの密着です。
番組の問いは「今年、鮭は帰ってくるのか」。
その背景にある秋鮭の不漁を、北海道の公表データで整理しました。
- 2025年の北海道の秋さけ漁獲は561万6千尾(確定値)
- 2026年の来遊予測は364万5000尾(前年比47%減)
- 原因の一つは親潮が弱まり、稚魚のエサが不足したこと
- ただし9月10日時点の漁獲は前年同期比141.1%
- 秋鮭の漁獲がどれだけ減ったか(10年分)
- 不漁の原因とされていること
- 2026年の予測と、9月上旬までの実績
- 値段やイクラへの影響
【考察】今年の答えは「去年よりは戻った、でも昔には遠い」になりそう
ここからは編集部の考察です。
情熱大陸が問う「今年、鮭は帰ってくるのか」への答えは、
記録的不漁だった去年は上回っても、10年前の水準には遠く及ばないという形になると考えます。
そう考える理由を6つ挙げます。
理由1。去年の漁獲が、ここ10年で飛び抜けて少ないからです。
北海道の確定値では、2025年の秋さけ漁獲は561万6千尾。
2024年の1563万尾の約3分の1、2015年の3326万1千尾と比べると約6分の1です(北海道 水産林務部)。
比べる相手の去年がとても低いので、「前年より多い」は起きやすい状況です。
理由2。それでも今年の予測は「さらに半減」だったからです。
北海道立総合研究機構(道総研)は、2026年秋の来遊数を前年比47%減の364万5000尾と予測しました(UHB)。
番組公式も「今年、秋鮭の来遊予想は昨年の半分程度」と紹介しています。
理由3。ところが9月上旬までは、予測より良い数字が出ているからです。
北海道の漁獲速報では、9月10日現在の全道の漁獲は79万7363尾で、前年同期の141.1%。
北洋丸が漁をするオホーツク海側は167.6%でした。
一方で日本海側は50.7%、えりも以西は54.2%と、地域で明暗が分かれています。
理由4。不漁の原因が、数年前の海にあるからです。
日本経済新聞によると、稚魚が放流された2022〜23年ごろ、黒潮大蛇行の影響で寒流の親潮が弱まり、エサのプランクトンが不足しました。
道総研の担当者は「稚魚の生き残りが悪く成長も遅れたことが一因」と話しています(日本経済新聞)。
鮭は3〜4年で川に戻るため、今年の数はそのころの海の状態に左右されます。
理由5。値段はすでに大きく上がっているからです。
同じ記事によると、北海道漁連の集計で2025年の鮭の産地卸値は1キロ1475円と、2024年より5割高くなりました。
イクラも過去最高値圏にあります。獲れる量が少なくても、1匹の価値を上げる工夫が漁師の収入を左右します。
理由6。将来の鮭を育てる仕組みも揺らいでいるからです。
ふ化・放流事業は漁師の負担金で支えられており、不漁は財源不足に直結します。
北海道さけ・ます増殖事業協会の会長は「ふ化・放流事業が存続の危機にある」と話しています。
番組で北洋丸が昆布の養殖に挑む姿は、この危機感の表れだと考えます。
6つを合わせると、放送では「思ったよりは獲れた」という安堵と、
それでも昔の海は戻らないという現実の両方が描かれると予測します。
9月中旬以降の漁獲はこの記事の時点で確認できていません。あくまで考察です。
北海道の秋さけ漁獲(10年分の確定値)
| 年 | 漁獲尾数(千尾) |
|---|---|
| 2015年 | 33,261 |
| 2016年 | 23,477 |
| 2017年 | 15,724 |
| 2018年 | 20,929 |
| 2019年 | 15,223 |
| 2020年 | 15,727 |
| 2021年 | 16,687 |
| 2022年 | 29,399 |
| 2023年 | 19,216 |
| 2024年 | 15,630 |
| 2025年 | 5,616 |
出典:北海道 水産林務部「北海道秋さけ漁獲速報(旬報)」の全道合計(確定値、北海道連合海区漁業調整委員会調べ)。
2022年に一度持ち直したあと、2025年に一気に落ち込んだことが分かります。
2026年は9月10日時点でどうなっている?
| 海域 | 漁獲尾数 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| オホーツク | 594,550尾 | 167.6% |
| 根室 | 50,483尾 | 116.6% |
| えりも以東 | 106,471尾 | 133.1% |
| えりも以西 | 26,831尾 | 54.2% |
| 日本海 | 19,028尾 | 50.7% |
| 全道 | 797,363尾 | 141.1% |
出典:北海道「令和8年 秋さけ沿岸漁獲速報(9月10日現在)」。
漁獲金額は全道で約35億円、前年同期の167.5%でした。
秋鮭漁は11月ごろまで続くため、シーズン全体の結果はまだ分かりません。
秋鮭とイクラの値段が上がっている今、食卓で味わうなら早めにチェックしておくのも一つの手です。
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※産地・原料(秋鮭かどうか)は商品ページでご確認ください。
斜里町と第二十一北洋丸
斜里町は、漁獲量で長年トップクラスを誇る「鮭 日本一の町」と番組公式で紹介されています。
第二十一北洋丸は、その斜里でサケ・マスの定置網漁を営む船で、乗組員は12人。
代表の伊藤正吉さんは、船上活締めや胃洗浄で鮮度を保ち、付加価値をつける工夫を続けています。
番組公式によると、秋鮭漁の解禁日だった9月6日から取材が始まりました。
上の速報の数字は、ちょうど番組の取材期間と重なります。
よくある質問(Q&A)
Q1. 秋鮭の不漁は何年ぶり?
2025年は約50年ぶりの記録的な不漁と報じられています。
Q2. 2026年の予測は?
道総研の予測は来遊数364万5000尾で、2025年より47%少ない見込みです。
Q3. 今年は去年より獲れているの?
9月10日時点の全道の漁獲は前年同期の141.1%です。ただし去年が記録的に少なかったため、多い年と比べるとまだ低い水準です。
Q4. 原因は温暖化?
日本経済新聞は、黒潮大蛇行で親潮が弱まり、稚魚のエサが不足したことを背景として報じています。海水温の上昇とプランクトンの減少を原因に挙げる声もありますが、情熱大陸の公式紹介は「はっきりしたことは分かっていない」としています。
Q5. イクラはまた高くなる?
2025年は過去最高値圏と報じられました。2026年の価格は漁獲の結果次第で、この記事では予測しません。
まとめ
北海道の秋鮭は、2025年に561万6千尾まで落ち込み、2026年もさらに半減すると予測されていました。
9月上旬までは前年を上回っていますが、10年前と比べると大きく少ない状況です。
その海で漁を続ける斜里の漁師たちを追う「情熱大陸」は、10月4日(日)よる11時15分からTBS系で放送です。