久保陽奈弁護士が法廷で訴えたこと|聴覚障害の女の子の逸失利益裁判はどうなった?(陽だまりのとき)

【結論】久保陽奈さんは、重機事故で亡くなった聴覚障害のある女の子の「逸失利益」をめぐる裁判で、地裁と高裁の最後の弁論に立った弁護士です。判決は地裁85%→高裁100%に変わり、確定しました。

10月6日(火)夜11時9分から、
フジテレビ「陽だまりのとき」に
難聴の弁護士・久保陽奈さんが登場します。
番組表の紹介文は、弁護士になるまでの道のりが中心で、
この裁判には触れていません。
ただ、久保さんを語るうえで外せない仕事なので、
公開情報から流れを整理します。

本記事はプロモーションを含みます。

  • 2018年2月、大阪の聴覚支援学校前で小学5年の女の子が重機にはねられ死亡
  • 被告側は、将来の収入を「聞こえる女性の40%」で計算すべきと主張
  • 2023年の地裁判決は全労働者平均の85%
  • 2025年の高裁判決は減額なしの100%、そのまま確定
  • 久保さんは地裁・高裁両方の結審の日に法廷で意見を述べた
この記事で分かること
  • 「逸失利益」裁判のあらまし
  • 地裁と高裁で判決がどう変わったか
  • 久保陽奈さんが法廷で担った役割
  • 番組で裁判の話は出るのか
目次

【考察】高裁が100%を認めた背景には「働いている難聴の当事者」という生きた証拠があった

ここからは編集部の考察です。
この裁判で判決が85%から100%に変わった背景には、
重い難聴がありながら一線で働く弁護士が、法廷でみずから語ったことが少なからず影響したと考えます。
判決が何を決め手にしたかは裁判所の判断ですが、そう考える理由を6つ挙げます。

理由1。争点が「聞こえない人は聞こえる人と同じように働けるか」そのものだったからです。
地裁は「聴覚障害者が社会で働くには、明らかに聞こえる人との差がある」として85%としました(大阪聴力障害者協会)。
100デシベルを超える難聴で訴訟を担当する久保さんは、この前提に対する現実の反例そのものです。

理由2。久保さんが立ったのが、どちらも「結審」の日だったからです。
支援団体の記録では、2022年11月28日の地裁第14回公判(結審)で口頭弁論を、2024年9月3日の高裁の最終弁論(結審)でも陳述をしています。
裁判官が最後に聞く言葉を、難聴の当事者に託した弁護団の意図が読み取れます。

理由3。高裁の判決理由が、久保さんの持論と重なっているからです。
高裁は、合理的配慮や障害者権利条約にもとづく法整備、社会モデルの浸透によって、就労年齢のころには聞こえる人と同等に働ける環境にあると述べました。
久保さんは2019年の講演で、困りごとの原因を本人でなく社会の側に見る「社会モデル」を詳しく説明しています(ログミーBusiness)。

理由4。技術の進歩を、久保さん自身の働き方で示せたからです。
久保さんの事務所は2015年に音声を字幕にする「UDトーク」を導入し、仕事で使っています(UDトーク公式)。
「この先、機器やアプリで働き方はもっと広がる」という主張を、自分の職場の話として語れる立場でした。

理由5。判決の重みが、報道でも大きく扱われたからです。
時事通信によると、賠償額は一審の約3700万円から約4300万円に増え、弁護団は障害のある子の逸失利益で全労働者の平均と同額を認めた判決は全国初とみられると説明しました(時事ドットコム)。
相手側は上告せず、2025年2月5日に確定しています。

理由6。久保さん本人が、今もこの裁判を語り続けているからです。
2026年5月公開の動画では、自身の半生とあわせてこの訴訟の舞台裏を語っています(脳フェスチャンネル)。
「障害を理由に減額しない」ことは、久保さんにとって仕事の中心にあるテーマだと言えます。

6つを合わせると、この裁判は「聞こえなくても働ける」を法廷の中で体現した弁護士がいた裁判だったと考えます。
6分の番組でこの裁判が取り上げられるかは分かりません。あくまで考察です。

裁判のあらまし

2018年2月1日、大阪府立生野聴覚支援学校の前の交差点に重機が突っ込み、
小学5年生だった井出安優香(あゆか)さんがはねられて亡くなりました。
ご両親は、運転手と建設会社を相手に損害賠償を求める民事裁判を起こしました。

争点になったのが「逸失利益」です。
亡くならなければ将来働いて得られたはずの収入のことで、
子どもの場合は平均賃金をもとに計算するのが一般的です。
被告側は当初、安優香さんに聴覚障害があったことを理由に、
聞こえる女性労働者の40%で計算すべきだと主張しました。

地裁と高裁で判決はどう変わった?

日付出来事
2018年2月1日事故。安優香さん(当時11歳)が死亡
2022年11月28日大阪地裁で結審。久保さんが口頭弁論
2023年2月27日地裁判決。全労働者平均の85%
2024年9月3日大阪高裁で結審。久保さんが陳述
2025年1月20日高裁判決。減額なしの100%
2025年2月5日相手側が上告せず、判決が確定

※大阪聴力障害者協会の記録と報道をもとに作成。

高裁は、平成30年の全労働者の平均賃金を基準にし、
「逸失利益の減額理由は見当たらない」と判断しました。
ご両親の訴えどおりの結論です。

久保陽奈さんが担った役割

原告側の弁護団には、聞こえない・聞こえにくい弁護士も加わっていました。
その一人が久保さんです。
支援団体の記録には、地裁の結審で「難聴の久保陽奈弁護士が口頭弁論」、高裁の結審で「難聴の久保陽奈弁護士が陳述」と残されています。
弁論で話した具体的な言葉は、この記録には載っていません。

久保さんは東京の第一中央法律事務所に所属し、
難聴が進むなか4度目の司法試験で合格して、2007年から弁護士をしています。
障害者差別解消法や「合理的配慮」について、講演でもわかりやすく説明してきました。

この裁判の背景にある「障害者差別解消法」や合理的配慮について知りたい人は、解説本から入るのがおすすめです。
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※版や在庫は販売ページでご確認ください。

よくある質問(Q&A)

Q1. 逸失利益とは?

事故などで亡くならなければ、将来働いて得られたはずの収入のことです。損害賠償の大きな部分を占めます。

Q2. 判決は確定した?

はい。相手側が上告しなかったため、2025年2月5日に確定しました。

Q3. 賠償額はいくら?

報道によると、一審の約3700万円から、高裁で約4300万円に増えました。

Q4. 久保さんは弁護団の代表?

公開情報では、弁護団の一人として地裁・高裁の結審で意見を述べたことが確認できます。代表かどうかは確認できませんでした。

Q5. 「陽だまりのとき」でこの裁判は紹介される?

番組表の紹介文には裁判の話は書かれていません。放送で触れられるかは分かりません。

Q6. 放送はいつ?

フジテレビで10月6日(火)夜11時9分〜11時15分です。

まとめ

聴覚支援学校に通っていた女の子の逸失利益をめぐる裁判は、
地裁85%から高裁100%へと変わり、確定しました。
その地裁と高裁の最後の法廷に立ったのが、重い難聴の弁護士・久保陽奈さんです。

「陽だまりのとき」は10月6日(火)夜11時9分からフジテレビで放送です。

参照リンク

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