【結論】巨人が織田翔希投手に「早期ポスティング」を認めたとしても、現行制度では25歳未満の移籍はマイナー契約しか結べません(プロ6年未満も同様)。巨人がこの条件を示したという報道もなく、「獲得できる根拠」としては確認できていません。
- 巨人が織田投手にポスティング容認を約束したという報道はない
- 25歳未満で移籍するとマイナー契約+契約金の上限がかかる
- その場合、巨人に入る譲渡金の基本は契約金の25%
- 巨人には山口俊投手に入団時から容認を認めた前例がある
米国挑戦を表明していた横浜高校の織田翔希(おだ・しょうき)投手を、巨人は2026年10月22日のドラフト会議で1位で単独指名しました(東スポWEB)。
「なぜ巨人は獲得できると考えたのか」について、ある野球の考察動画は早期ポスティング容認、育成環境の差、大谷翔平選手の成功例の3つを挙げています。
この記事では、なかでも中心となる「早期ポスティング」に絞り、移籍の制度とお金の流れを公式情報と報道で確かめます。
動画の主張は投稿者の見方として扱い、確認できた事実と分けて書きます。
- 早期ポスティングが巨人の切り札になるかの編集部予想
- 25歳未満の移籍にかかる「25歳ルール」の中身
- 巨人がポスティングを認めてきた歴史
- 大谷翔平選手が日本経由で渡米したときの条件
【考察】早期ポスティング容認は巨人の切り札になるか?編集部の予想
ここからは編集部の予想です。
結論から言います。
早期ポスティング容認は、それだけでは織田投手を口説く切り札になりにくいと私は読みます。
巨人が本気で使うなら、「何年目に出すか」を具体的に示す覚悟が要ります。
しかし早く出すほど、巨人が受け取る見返りは小さくなります。
そう考える理由は3つあります。
理由1:25歳未満はマイナー契約になる
大リーグの現行の労使協定では、25歳未満、もしくはプロ6年目未満の選手はマイナー契約しか結べず、契約金は国際ボーナスプールから支払われます(デイリースポーツ)。
大リーグ公式サイトも、プールの割り当てを超えて使うことはどんな場合も認められないと説明しています(MLB公式)。
つまり巨人で数年過ごしてから25歳前に海を渡っても、契約金の上限という点では、高校から直接渡る場合と同じ枠に入ります。
もちろん、日本で実績を積めば米国での出発点や昇格の道筋は大きく変わり得ます。
それでも、お金の条件を大きく引き上げる効果は限られ、織田投手にとっての上積みは「日本での実績」と「その間の年俸」が中心になります。
この点で、早期容認は決定的な差を生むカードではないと考えます。
理由2:巨人に入るお金の基本は契約金の25%
ポスティングで移籍した選手がマイナー契約を結んだ場合、元の球団に入る譲渡金の基本は契約金の25%で、メジャーに昇格すると年俸などの15%が加算されます(スポーツ・イラストレイテッド)。
23歳で移籍した佐々木朗希投手の場合、ロッテに確定した譲渡金は162万5000ドルでした(デイリースポーツ)。
一方、29歳で移籍した岡本和真選手の4年6000万ドルの契約に同じ表を当てはめると、譲渡金は約1087万ドルになる計算です(編集部試算)。
差は約6.7倍です。
実績の差もあるため単純には比べられませんが、25歳ルールの上限がかかるかどうかで、球団の受け取り額が大きく変わることは確かです。
1位で指名した投手を早く手放すほど、球団の取り分は小さくなることになります。
理由3:巨人の入団時容認の前例はFA入団の山口投手
巨人は長く、ポスティングの利用を「球団の権利」として一切認めてこなかった球団です(デイリースポーツ)。
2019年に初めて認めた山口俊投手は、FAで入団した際に「時期を確定しないかたちでポスティングできる形」を認められていました。
入団時の約束という形自体には前例があるわけです。
ただしこれはFA移籍してきた実績のある投手の例で、高卒新人に同じ約束をしたという報道は確認できません。
巨人が織田投手に前例のない条件を示せるかどうかは、球団の決断しだいです。
以上から、早期容認は「入団を後押しする材料の一つ」にはなり得ても、それだけで決まる話ではないと見ています。
この考察は編集部の予想で、確定した情報ではありません。
考察動画が挙げた「獲得できる3つの根拠」と確認結果
動画の投稿者は、巨人が強行指名に踏み切れた理由として次の3つを挙げました。
それぞれについて、報道や制度で確認できた範囲を整理します。
判定は記事執筆時点のものです。
巨人の新ファーム球場は2025年3月1日開業と発表され(インプレスウォッチ)、マイナー側も2023年の初の労使協定で年俸の幅が上がりました(MLB公式)。
| 動画の根拠 | 確認できた事実 | 判定 |
|---|---|---|
| 早期ポスティング容認を条件に交渉 | 条件提示の報道なし。25歳未満はマイナー契約 | 未確認 |
| マイナーと巨人の育成環境の差 | 巨人は2025年3月に新ファーム球場。マイナーも2023年に待遇改善 | 一部事実 |
| 大谷翔平選手の成功例 | 2012年に日本ハムが1位指名し入団。2017年オフに23歳で渡米 | 前例は日本ハム |
指名後も織田投手は「アメリカに挑戦する気持ちは全くぶれません」と話しています(デイリースポーツ)。
巨人の水野雄仁編成本部長は「我々は球団としてできる限りのことをやりたいと思っています」としつつ、「その先は何も言えない状況です」と述べ、具体的な条件には触れていません(デイリースポーツ)。
10月25日朝の時点で、入団や米球団との契約の発表は出ていません。
日本を経て大リーグへ渡った大谷選手の歩みを、本であらためてたどってみるのも面白いと思います。
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ポスティングと「25歳ルール」の仕組み
ポスティングは、日本の球団が認めた選手について、大リーグの全30球団と交渉できるようにする制度です。
交渉期間は45日で、まとまらなければ選手は元の球団に戻ります(スポーツ・イラストレイテッド)。
移籍が決まると、大リーグ球団は日本の球団に譲渡金を支払います。
| 契約の種類 | 日本の球団に入る譲渡金 |
|---|---|
| メジャー契約(総額2500万ドル以下) | 保証額の20% |
| メジャー契約(それを超える部分) | 17.5%、5000万ドル超の部分は15% |
| マイナー契約 | 契約金の25%(メジャー昇格時は年俸などの15%を加算) |
この表の下段にあたるのが、25歳ルールの対象選手です。
大リーグ公式サイトによると、ボーナスプールの制限から外れるのは「25歳以上」かつ「海外のプロリーグで6シーズン以上」の選手です(MLB公式)。
どちらか一方でも欠けると、契約金は各球団のプールの範囲に収まります。
織田投手は2008年6月生まれです(中日スポーツ)。
仮に2027年に入団した場合、6シーズン目を終えるのは2032年で、その時点ではまだ24歳です。
現行制度のままなら、2つの条件がそろうのは単純計算で2033年シーズンの後になります。
なお現行の労使協定は2026年12月1日に失効予定で(デイリースポーツ)、新しい協定でルールが変わる可能性もあります。
巨人がポスティングを認めてきた歴史
巨人のポスティング容認は、ここ数年で少しずつ実例が増えています。
ただし、いずれもプロで実績を積んだ選手です。
| 年 | 選手 | 移籍の形と結果 |
|---|---|---|
| 2019年 | 山口俊投手 | 球団として史上初めてポスティングを容認 |
| 2020年 | 菅野智之投手 | ポスティングで移籍を試みたが契約せず残留 |
| 2024年 | 菅野智之投手 | 海外FA権を行使し、オリオールズと契約合意 |
| 2025年オフ | 岡本和真選手 | ポスティングでブルージェイズと4年総額6000万ドルで合意 |
山口投手の会見では、今村司球団社長が「時期を確定しないかたちでポスティングできる形を認めた」と説明しています(デイリースポーツ)。
菅野投手は2020年のポスティングで契約に至らず、2024年に海外FA権でオリオールズと合意しました(高校野球ドットコム)。
岡本選手は29歳でポスティングを使い、ブルージェイズとの契約合意が2026年1月4日に発表されています(さきがけ(共同通信))。
大谷翔平の前例|日本ハムで5年、23歳でポスティング
動画が挙げた大谷選手の成功例は、巨人ではなく日本ハムの事例です。
2012年秋、高校から直接アメリカへ渡ると表明していた花巻東の大谷選手を日本ハムが1位で指名し、大谷選手は最終的に入団を決めました(東スポWEB)。
日本ハムで5シーズンを過ごした後、大谷選手は2017年オフに23歳でポスティングを使い、エンゼルスと契約しました。
当時もすでに25歳未満の制限があり、契約条件は総額231万5000ドルに抑えられたと報じられています(ナンバーウェブ)。
「日本で育ってから、25歳を待たずに渡米する」という流れは、早期ポスティングの代表例と言えます。
同じ型を織田投手に当てはめると、2027年入団・5シーズン後なら2031年オフ、23歳の計算です。
ただし、巨人がこうした時期を示したという事実は、現時点で報じられていません。
巨人の早期ポスティングに関するQ&A
Q1. 巨人は織田投手にポスティング容認を約束しましたか?
報道では確認できません。
考察動画の投稿者が示した見方であり、球団や本人が明かした条件ではありません。
水野編成本部長も、指名後の取材で具体的な条件には触れていません。
Q2. 「25歳ルール」とは何ですか?
大リーグの労使協定で、25歳未満もしくはプロ6年目未満の海外選手はマイナー契約しか結べず、契約金も球団ごとの上限の範囲に収まるという決まりです。
佐々木朗希投手も、この制限の中でドジャースと契約しました。
Q3. 早く移籍させると巨人は損をするのですか?
お金の面では、受け取る譲渡金が小さくなるのは確かです。
マイナー契約なら基本は契約金の25%で、佐々木投手の例で確定していた額は162万5000ドルでした。
ただし球団が何を重視するかは金額だけでは決まらないため、損得の判断は球団しだいです。
Q4. 巨人は過去にポスティングを認めたことがありますか?
あります。
2019年の山口俊投手が球団史上初で、2020年の菅野智之投手(このときは契約に至らず)、2025年オフの岡本和真選手が続いています。
いずれもプロで実績を積んだ後の移籍でした。
Q5. この記事の予想は確かな情報ですか?
いいえ、編集部の予想です。
制度と過去の例から読み解いたもので、巨人や織田投手の考えを示したものではありません。
新しい発表があれば、その内容が優先されます。
今後の見通し
今後の焦点は、巨人が交渉の席でどんな将来像を示すかです。
早期ポスティングが話題にのぼるとしても、25歳ルールと労使協定の行方を抜きには語れません。
大リーグの新しい協定でルールが変われば、早期容認の意味も変わってきます。
織田投手本人は、指名後も米国挑戦の意思を変えていません。
条件や進路について本人や球団から発表があれば、その内容で判断したいところです。
まとめ
- 巨人の早期ポスティング容認の条件提示は報道で確認できない
- 25歳未満で渡米するとマイナー契約・契約金に上限
- その場合の巨人の取り分は契約金の25%が基本
- 大谷選手の前例は日本ハムで5年、23歳でポスティング
「巨人なら早めに米国へ出してくれる」という見方は、制度を確かめると単純な話ではないことが分かります。
巨人と織田投手がどんな道を選ぶのか、今後の発表を待ちたいと思います。