【結論】ヒントになったのは、お参り先の隣に広がっていたハスの沼でした。
- 気づいた人:関口朋伸さん(東洋アルミニウム)
- 場所:製造所の稲荷社の隣にあったハスの沼
- 見たもの:葉の上で水が丸い粒になって転がる様子
- 次にしたこと:顕微鏡でハスの葉の表面を観察
- 分かったこと:無数の細かい突起物が水をはじいていた
- ハスの葉がヒントになった経緯
- 気づきをどう技術に変えたのか
- なぜハスの葉は水をはじくのか
- 開発で一番難しかった点
2026年7月25日(土)21時54分、
日本テレビ『情熱のしずく』で
「ヨーグルトがつきにくいフタ」が
取り上げられます。
開発したのは関口朋伸さん。
そのアイデアの出どころが
会社の敷地の隣にあったハスの沼でした。
【考察】その「ひらめき」は本当に偶然だったのか
ここからは編集部の考察です。
結論として、ハスの沼での気づきは「偶然の幸運」ではなく、課題を抱え続けていたからこそ起きた必然に近い出来事だったと編集部は考えます。
理由を3つ挙げます。
理由1:同じ沼を、他の人も毎日見ていたはず
関口さんが沼を見たのは、
特別な出張先ではありません。
Lmaga.jpの取材によれば、
製造所の稲荷社にお参りした際の出来事です。
つまり職場の敷地内。
同じ景色を大勢の社員が見ていたはずですが、
そこから蓋材の設計を思いついたのは
関口さんだけでした。
見えていたものが違うのではなく、探していたものが違ったと考えるのが自然です。
理由2:気づきの直後に顕微鏡へ向かっている
重要なのはこの後の行動です。
関口さんは水玉を見て感心して終わらず、
顕微鏡でハスの葉を観察しています。
そこで無数の細かい突起物を確認しました。
ひらめきをその日のうちに検証可能な形に落とす——
この速さがなければ、
沼の記憶は雑談で終わっていたはずです。
研究者の力量が出るのは
ひらめきよりもその次の一手だと予測します。
理由3:解くべき問いが具体的だった
関口さんが抱えていたのは
「何か新しい素材を作れ」
という漠然とした宿題ではありません。
森永乳業から持ち込まれた
「ヨーグルトが蓋に付く」という
きわめて具体的な課題でした。
問いが具体的なほど、
目の前の風景が答えの候補に見えてきます。
企業研究において
課題の解像度がひらめきの確率を上げる、
という好例だと考えます。
ハスの沼で何を見たのか
Lmaga.jpの取材で、
関口さんはその場面を
次のように振り返っています。
お参りをしていたところ、
隣に広がるハスの沼に目がいった。
そしてハスの葉の上では水がコロコロとした水玉になることに
気づいた、という趣旨の説明です。
さらに、ハスの葉の上に
実際にヨーグルトを垂らしてみると、
水と同じように丸い粒となって転がり落ちたとも
伝えられています。
ここで「水だけでなく、乳製品もはじく」という
確証が得られたことになります。
なぜハスの葉は水をはじくのか
顕微鏡で見ると、
ハスの葉の表面は
つるつるではありません。
| 見た目 | なめらかな緑の葉 |
| 顕微鏡下 | 無数の細かい突起物(デコボコ構造) |
| 効果 | 水が面で接触できず、玉になって転がる |
| 成分面 | ロウのような撥水性のある成分も関与 |
水滴が葉にべったり触れられないため、
接触面積が極端に小さくなります。
その結果、水は
丸いまま転がり落ちていきます。
この現象は一般に
ロータス効果と呼ばれています。
一番の難所は「正反対の性質」を両立させること
自然の仕組みが分かっても、
そのまま商品にはなりません。
蓋材には矛盾する2つの役割が
同時に求められるからです。
- 容器のフチにはしっかりくっつく必要がある
- 内側の面ではヨーグルトをはじく必要がある
- 食品用途のため安全性も当然求められる
知財タイムズは、
この「くっつける」と「はじく」という反対の性質の
両立が最大の課題だったと伝えています。
同メディアによれば、
商品の実用化までに費やした期間は
およそ1年とされています。
気づきは「特許」という形で残った
沼での観察は、
最終的に権利として記録されています。
知財タイムズによれば、
この技術は特許第4348401号「蓋材」として
登録されました。
出願は2009年2月13日、
権利者は東洋アルミニウム株式会社です。
ハスの葉を眺めた一瞬が、
数字と書類の形で
誰にでも確認できる記録になったわけです。
ひらめきが再現可能な技術に
変換された証拠ともいえます。
自然をまねる技術「バイオミメティクス」
生き物の構造から発想を得る手法は、
バイオミメティクス(生物模倣)と呼ばれ、
ものづくりの現場で広く使われています。
ハスの葉はその代表例です。
| 手本になった生き物 | 活かされ方の例 |
|---|---|
| ハスの葉 | 水や汚れをはじく表面(今回のフタ材) |
| サメの肌 | 水の抵抗を減らす表面加工 |
| ヤモリの足 | 粘着剤を使わず貼り付く素材 |
共通しているのは、
自然が長い時間をかけて到達した形を
出発点にしている点です。
関口さんの沼での気づきも、
この流れの中に位置づけられます。
放送予定
| 番組名 | 情熱のしずく |
| 放送局 | 日本テレビ |
| 放送日時 | 2026年7月25日(土)21:54〜22:00 |
| テーマ | ヨーグルトがつきにくいフタ |
よくある質問
ハスの葉のどこがヒントになったのですか?
葉の表面にある無数の細かい突起(デコボコ構造)です。
これが水との接触面積を小さくし、
水滴を玉のまま転がり落とします。
気づいた場所はどこですか?
製造所の稲荷社にお参りした際、その隣にあったハスの沼だと
Lmaga.jpの取材で語られています。
ヨーグルトでも試したのですか?
はい。ハスの葉にヨーグルトを垂らすと、
水と同様に丸い粒になって転がり落ちたと
伝えられています。
この現象には名前がありますか?
一般に「ロータス効果」と呼ばれます。
製品名の「トーヤルロータス」も
ハス(lotus)に由来します。
開発で一番難しかったことは?
「くっつける」と「はじく」という正反対の性質の両立です。
容器には密着させつつ、
中身は寄せ付けない設計が必要でした。
ハスの葉が汚れないのも同じ理由ですか?
同じ仕組みが関係しています。
転がる水玉が表面のホコリを巻き込んで一緒に落ちるため、
葉がきれいなまま保たれます。
ハスが泥の中から育っても
葉が汚れて見えないのは、
この自己洗浄の働きによるものです。
他の生き物からヒントを得た技術もありますか?
自然の構造をまねる考え方は
バイオミメティクス(生物模倣)と呼ばれ、
広く研究されています。
ハスの葉はその代表例のひとつです。
まとめ
ヨーグルトが付かないフタの原点は、
職場の隣にあったハスの沼でした。
葉の上を転がる水玉に気づき、
すぐ顕微鏡で突起構造を確かめ、
蓋材の設計へ落とし込む——
その一連の流れが
いまの当たり前を作っています。
7月25日の『情熱のしずく』では、
この舞台裏が描かれる見込みです。
ハスの葉と朝食のヨーグルトが
どうつながるのか——
放送で確かめたいところです。