【結論】17号棟は14階建て2棟・177戸に建て替えられます。
- 新しい名前は基町第21・第22アパート
- 14階建て・高さ約43mの2棟
- 住戸数は177戸(現在と同数)
- 建設事業費は55億7,909万円
- 工期は2027年1月29日までの予定
- 新しい建物の規模と間取り
- なぜ戸数を増やさないのかの考察
- 商店街の入店者の移転がどうなるか
- 土地を73年間借りるという条件
2026年8月23日(日)午前8時25分から、NHK総合「Dearにっぽん」が広島の基町アパートを取り上げます。
この団地には、いま建て替えが決まっている棟があります。
ギャラリー「Unité」が入る17号棟です。
広島市が公開している実施設計の資料をもとに、その計画を整理します。
【考察】なぜ戸数を増やさないのか
ここからは編集部の考察です。
この計画で目を引くのは、建て替え前後で住戸数が177戸のまま変わらない点です。
現在の17号棟の管理戸数が177戸、新しい2棟の合計も177戸。1戸も増やしていません。
結論から言えば、これは拡張ではなく置き換えを目的とした事業だからだと考えています。理由を5つ挙げます。
理由1:もともと「マネジメント計画」から出た事業である
この建て替えは、平成28年12月に策定された「広島市市営住宅マネジメント計画(推進プラン編)」で位置付けられたものです(広島市)。
「マネジメント」という言葉が示すとおり、すでにある住宅ストックをどう維持・再編するかの計画です。
新規供給を増やす発想ではないと読み取れます。
理由2:間取りが小さい住戸に振られている
新しい177戸の内訳は1DKが26戸、2DKが108戸、3DKが39戸、そして車いす常用者向け2DKが4戸です。
2DKだけで全体の6割を占めています。
大家族ではなく単身と少人数世帯を前提にした構成で、高齢化する住民像に合わせたと予測します。
理由3:土地が「借り物」である
建設予定地は国が留保財産に指定し、時価で貸し付ける土地です。
広島市は一般定期借地権を設定し、令和6年11月から73年間借り受ける契約になっています。
借地料は年間換算で1億2,960万円。
戸数を増やせば負担も増える構造であり、規模拡大に踏み込みにくい事情があると考えます。
理由4:商店の移転という別の課題を抱えている
資料には入店者への移転補償についても記されています。
現在の入店者は19者で、占めるのは全101区画のうち26区画です。
裏を返せば75区画が空いていることになります。
住戸を増やす前に、まず空いた商業床をどうするかという問題が先に立っていると予測します。
理由5:市は中層棟の廃止方針も示している
17号棟の建て替えと並行して、広島市が中層棟を廃止する方針を固めたことも報じられています。
団地全体としては縮小の方向にあるということです。
そのなかで17号棟だけ戸数を増やす選択は取りにくいと考えます。
以上は公開資料にもとづく考察であり、市の公式見解ではありません。
新しい建物の設計概要
広島市が公表した実施設計の内容は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 工事名 | 基町第21・第22アパート新築工事 |
| 敷地面積 | 約7,600㎡ |
| 延べ床面積 | 第21=約7,360㎡/第22=約4,300㎡ |
| 構造 | 鉄筋コンクリート造 |
| 階数・高さ | 14階建て/高さ約43m |
| 住戸数 | 177戸(第21=113戸/第22=64戸) |
| その他施設 | 集会所、駐車場、駐輪場 |
| 建設事業費 | 55億7,909万円 |
景観への配慮も明記されています。
本川などからの見え方に配慮し、基町高層アパート群とのデザイン調和を図り、河川側に向かって階段状に階数を低くするという方針です。
既存の高層棟が広島城に合わせて高さを変えているのと、同じ考え方が引き継がれていると言えます。
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177戸の間取り内訳
| 間取り | 戸数 | 割合の目安 |
|---|---|---|
| 1DK | 26戸 | 約15% |
| 2DK | 108戸 | 約61% |
| 3DK | 39戸 | 約22% |
| 車いす常用者向け2DK | 4戸 | 約2% |
割合は177戸を分母として計算した概算です。
車いす常用者向けの住戸が明示されている点は、現行の高層棟にはない特徴と言えます。
工事のスケジュール
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 平成28年12月 | 市営住宅マネジメント計画で建て替えを位置付け |
| 令和2年5月 | 基町地区活性化計画で令和6年までの着手を目標に |
| 令和6年10月初旬 | 工事着手(予定) |
| 令和9年1月29日 | 工期満了(予定・約2年4か月) |
| 令和8年度末 | 入店者の移転完了(予定) |
契約方式は一般競争入札(WTO)です。
なお広島市は「今後の手続きや工事の過程により変更となる場合があります」と注記しています。
よくある質問
Q1. 17号棟はいつ取り壊されるのですか?
解体の具体的な時期は、公開されている実施設計概要には記載されていません。まず新しい第21・第22アパートを別の場所に建て、住民が移った後という流れになります。
Q2. 新しい建物はどこに建つのですか?
県営基町住宅の跡地とされています。土地は国が留保財産に指定しているもので、広島市が一般定期借地権を設定して借り受けます。
Q3. 借地の期間はどれくらいですか?
令和6年11月から73年間です。令和6年度の借地料は5か月分で5,400万円、年間に換算すると1億2,960万円とされています。
Q4. 商店はどうなるのですか?
移転補償の対象になります。入店者は19者で、令和6年度から移転の折衝が始まり、令和8年度末までに移転を完了する予定とされています。
Q5. ギャラリーUnitéはどうなりますか?
Unitéは17号棟にあります。建て替えに伴う今後の扱いについて公表された情報は確認できませんでした。2026年8月時点では基町プロジェクトの拠点として展示に使われています。
Q6. 大髙正人が設計した棟も壊されるのですか?
いいえ。大髙正人が設計したのは18〜20号棟の高層3棟です。17号棟は、高層化以前に建てられた中層アパート群に含まれます。
今後の見通し
工期の満了予定は令和9年(2027年)1月29日。
放送のある2026年8月から見て、あと1年半ほどの工事期間が残っている計算です。
この動きに呼応するように、2026年9月10日から13日には、Unitéで「基町ののこし方」という展示が予定されています。
すべてを完成させず住み手が手を加える余地を残すことで、保存と更新を両立させる提案を紹介する内容です(基町プロジェクト)。
壊す側の計画と、のこし方を考える側の展示が、同じ団地で同時に進んでいると予測します。
まとめ
基町アパート17号棟は、基町第21・第22アパートとして建て替えられます。
14階建て・高さ約43mの2棟で、住戸数は現在と同じ177戸です。
敷地面積は約7,600㎡、建設事業費は55億7,909万円。
工期は令和9年1月29日までの約2年4か月とされています。
この団地を舞台にした「Dearにっぽん」は2026年8月23日(日)午前8時25分から放送。
初回放送は2025年10月12日で、今回は再放送にあたります。