池澤春菜の星雲賞は2回受賞!2017年『SFのSは、ステキのS』と2021年「オービタル・クリスマス」の中身

【結論】池澤春菜さんの星雲賞は2回受賞。2017年の第48回ノンフィクション部門と、2021年の第52回日本短編部門です。

  • 受賞は2回。しかも別々の部門で取っている
  • 2024年・2025年は候補どまり(受賞ではない)
  • 2022年は「柿村イサナ」という別名義で創作講座を受講していた
  • 2026年8月11日、NHK Eテレ「心おどる あの人の本棚」に出演予定
この記事で分かること
  • 池澤春菜さんの星雲賞・受賞2回の正確な内訳(回・年・部門・作品)
  • 「受賞」と「候補」がネット上で混ざりやすい理由
  • 柿村イサナ名義が何だったのか
  • 星雲賞そのものの仕組み(誰が選ぶ賞なのか)

2026年8月11日(火)21時30分から、
NHK Eテレ「心おどる あの人の本棚」に
池澤春菜さんが登場します。
「声優さんだよね?」と思って検索すると、
肩書きに作家・書評家と出てきて戸惑う人が多いはずです。

そこで気になるのが「星雲賞を何回取っているのか」
ネット上では2回とも4回とも書かれていて、
数がはっきりしません。
この記事では星雲賞の公式受賞リストを年ごとに直接確認して、
受賞と候補を切り分けました。

目次

【考察】池澤春菜さんが「声優が書いた本」の枠を抜けたのはいつか

ここからは編集部の考察です。
結論から言うと、抜けたのは2021年の第52回、小説部門での受賞だったと考えています。
そう考える理由を6つ挙げます。

理由①:2回の受賞が別部門だから。
2017年の第48回はノンフィクション部門
2021年の第52回は日本短編部門です(日本SFファングループ連合会議)。
前者は「SFを語る人」としての評価、
後者は「SFを書く人」としての評価で、
評価軸がまったく違います。

理由②:星雲賞がファン投票の賞だから。
星雲賞は日本SF大会の参加者による投票で決まります。
出版社や選考委員が決める賞ではなく、
読者側が票を入れる賞です。
知名度で1回取ることはあっても、
部門を変えて2回は取りにくい構造です。

理由③:受賞のあとも票が入り続けているから。
2024年の第55回では監修書『現代SF小説ガイドブック 可能性の文学』が、
2025年の第56回では「わたしは孤独な星のように」が、
それぞれ候補作に挙がっています(日本SFファングループ連合会議)。
受賞は逃していますが、4年連続に近い頻度で名前が挙がるのは単発の話題性では説明できません。

理由④:別名義で評価を受けにいっているから。
2022年、池澤さんは柿村イサナという筆名で
ゲンロン 大森望 SF創作講座を受講しています。
講座の公式サイトには、第6課題の提出作として
「わたしは孤独な星のように」が柿村イサナ名義のまま掲載されています(超・SF作家育成サイト)。
名前の力を外した場所で書いた、ということです。

理由⑤:その別名義の作品が賞を取っているから。
表題作「わたしは孤独な星のように」は
第6回ゲンロンSF新人賞・伊藤靖賞を受賞しています(Hayakawa Books & Magazines)。
知名度が効きにくい場で評価された、
という順番が大事です。

理由⑥:本人の自己評価が一貫して低いから。
2021年の受賞コメントで池澤さんは、
原作者・編集者・投票者に謝意を並べたうえで
わたしの功績は3%くらいかと思います」と書いています。
受賞を自分の実力の証明として使っていない書き方で、
これは書き手として腰を据えた人の言い方だと感じます。

ここから先は予測です。
8月11日の放送は「本棚」がテーマなので、
受賞歴より「読む人」としての池澤さんが中心になるとみています。
星雲賞の話が出ないまま終わる可能性も高い。
だからこそ放送後に「池澤春菜 星雲賞」で調べる人が増えるはずです。
なお、ここまでの見立てはあくまで考察・推測であり、
番組内容を事前に知って書いたものではありません。

星雲賞の受賞2回を、公式リストで確認する

星雲賞の結果は年ごとに公開されています。
池澤さんの名前が受賞作として載っているのは次の2回だけでした。

回・年部門作品
第48回(2017年)ノンフィクション部門『SFのSは、ステキのS』(早川書房)
第52回(2021年)日本短編部門「オービタル・クリスマス」(原作:堺三保/河出書房新社)

1回目の『SFのSは、ステキのS』は
2016年5月24日刊行の単行本です。
SFマガジンでの連載をまとめたもので、
翌2017年の第48回でノンフィクション部門を受賞しました。

2回目の「オービタル・クリスマス」は少し複雑です。
これは堺三保さんの原作(映画)を池澤さんが小説化したもの。
Web河出で先行公開されたのが2020年12月22日
その後『NOVA 2021年夏号』(2021年4月6日)に収録されました。

「オービタル・クリスマス」はノベライズ作品です。原作は堺三保さん。池澤さんの完全オリジナル小説での星雲賞受賞ではない点は、正確に押さえておきたいところです。

「4回受賞」と誤解されやすい理由=候補が2回あるから

数え方が割れるのは、
受賞していない年にも名前が載っているからです。
星雲賞の結果ページには参考候補作の一覧も併載されており、
そこに池澤さんの著作が2回入っています。

回・年部門作品/扱い
第55回(2024年)ノンフィクション部門『現代SF小説ガイドブック 可能性の文学』(監修)/候補
第56回(2025年)日本短編部門「わたしは孤独な星のように」/候補

2024年の受賞はノンフィクション部門が
『創元SF文庫総解説』(東京創元社編集部)、
2025年の日本短編部門は
「山手線が転生して加速器になりました。」(松崎有理さん)でした。
つまりこの2つは受賞ではなく候補です。

柿村イサナ名義とは何だったのか

池澤さんは2022年、
ゲンロン 大森望 SF創作講座を受講しています。
そのときのペンネームが柿村イサナでした。

講座の公式サイトには課題の提出記録が残っています。
第6課題は法月綸太郎さんが出題し、
テーマは「何か(誰か)を葬る/弔う/喪に服す物語を書いてください」
梗概の提出締切が2022年9月16日
実作の提出締切が2022年10月21日でした。

ここで提出されたのが「わたしは孤独な星のように」。
のちに同名の短編集の表題作になります。
本人の言葉によると、
タイトルはワーズワースの詩
”I Wandered Lonely as a Cloud”(わたしは孤独な雲のように)から取られています。

星雲賞はどういう賞なのか

星雲賞は日本SF大会で発表される賞です。
運営は日本SFファングループ連合会議。
いちばんの特徴は、
大会参加者の投票で決まるという点です。

部門は日本長編・日本短編・海外長編・海外短編・メディア・コミック・アート・ノンフィクション・自由部門などに分かれています。
池澤さんはこのうち2部門で受賞したことになります。

2021年の受賞時、原作者の堺三保さんは
「池澤さんにノベライズをお願いしてほんとに良かったです」
とコメントを寄せています。
作り手側からの評価も併記されている形です。

短編集『わたしは孤独な星のように』の中身

2024年5月9日、早川書房から刊行された初の短編集です。
装幀は川名潤さん。
収録は全7篇で、本人が刊行時に内訳を明かしています。

  • 「糸は赤い、糸は白い」=創作講座で最初に書き上げた一篇
  • 「祖母の揺籠」=アンソロジー『2084年のSF』への書き下ろし
  • 「あるいは脂肪でいっぱいの宇宙」「宇宙の中心でIを叫んだワタシ」=前後篇のコメディ
  • 「いつか土漠に雨の降る」=チリで見たビスカチャが主役
  • 「Yours is the Earth, and everything that’s in it」=SFプロトタイピング由来
  • 表題作「わたしは孤独な星のように」=伊藤靖賞受賞作

本人は刊行時のメッセージで
毎回最後だと思って、出し惜しみせず、ありったけ全部盛り込んでいる
と書いています。
7篇の由来がばらばらなのは、
その姿勢の結果とも読めます。

よくある質問(Q&A)

Q1. 池澤春菜さんの星雲賞は結局何回ですか?

受賞は2回です。2017年の第48回ノンフィクション部門(『SFのSは、ステキのS』)と、2021年の第52回日本短編部門(「オービタル・クリスマス」)。これに加えて2024年・2025年に候補が2回あるため、合計を「4回」と数えている情報も見かけますが、候補は受賞ではありません

Q2. 柿村イサナは別人ですか?

別人ではなく、池澤春菜さん本人が2022年にゲンロン SF創作講座で使ったペンネームです。講座の公式サイトには現在も柿村イサナ名義で課題作が掲載されています。

Q3. 「オービタル・クリスマス」は池澤さんのオリジナル作品ですか?

いいえ。堺三保さんの原作を池澤さんが小説化(ノベライズ)したものです。星雲賞の受賞発表でも原作者名が併記されています。Web河出での先行公開は2020年12月22日でした。

Q4. 星雲賞は誰が選ぶ賞ですか?

日本SF大会の参加者による投票で決まります。運営は日本SFファングループ連合会議です。選考委員が合議で決める文学賞とは仕組みが異なり、読者・ファンの票が直接反映されます。

Q5. 『わたしは孤独な星のように』はいつ出た本ですか?

2024年5月9日、早川書房から刊行された池澤さんの初の短編集です。全7篇収録。表題作は第6回ゲンロンSF新人賞の伊藤靖賞を受賞しています。

Q6. 8月11日の番組では何が放送されますか?

NHK Eテレ「心おどる あの人の本棚」に池澤春菜さんが出演予定です(2026年8月11日21時30分〜)。本棚をテーマにした番組のため、受賞歴そのものより読書歴が中心になる可能性があります。放送内容は編集部で事前に確認したものではありません。

今後の見通し

池澤さんは2024年に初短編集を出したばかりで、
星雲賞の候補にも2年続けて名前が挙がっています。
3回目の受賞が視野に入る位置にいるのは確かです。

ただし本人は刊行時のメッセージで
「初だけど、最後かもしれない」と書き、
「書く道に進まなければ良かった、
読んでいる人だけでいれば良かった、と何度も思いました」
とも明かしています。
量産するタイプの書き手ではなさそうです。

その分、次の一冊が出たときの注目度は高くなります。
放送をきっかけに過去の2冊から入る読者も増えるはずです。

まとめ

池澤春菜さんの星雲賞は2回受賞
2017年の第48回ノンフィクション部門『SFのSは、ステキのS』と、
2021年の第52回日本短編部門「オービタル・クリスマス」です。

2024年・2025年の名前は候補であって受賞ではありません。
ここを混同すると回数が合わなくなります。

そして2022年の柿村イサナ名義。
すでに星雲賞を受賞していた人が、
名前を伏せて創作講座に通っていた。
この一点が、池澤春菜という書き手のいちばん分かりやすい説明だと思います。

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