【結論】自見直人さんが記載した新種は、70種以上です。
- 記載した新種は70種以上(ラボ公式サイトの記載)
- 専門は多毛類(ゴカイの仲間)の分類学
- ほかに節足動物・扁形動物・刺胞動物も扱う
- 博士号は2019年3月・北海道大学
- 日本動物分類学会から2023年・2025年に受賞
- 放送は2026年8月9日(日)23時30分・Eテレ
- 70種以上という数字が意味すること(考察)
- 扱っている動物のグループの広さ
- 新種が「新種」になるまでの流れ
- 代表的な記載種の例
- サイエンスZEROでの放送予定
新種を1つ見つけるだけでも
研究者人生の代表作になり得ます。
それを70種以上。
博士号を取ったのが2019年ですから、
数字だけ見るとかなり異様です。
【考察】70種は才能ではなく「誰も見ていない場所」の数
ここからは編集部の考察です。
結論から言うと、70種という数字は発見のうまさではなく、見る場所と扱うグループを広げた設計の結果だと考えます。
理由1:動物門をまたいで拾っているから。
ラボの公式サイトには、
多毛類のほかにシダムシの仲間(節足動物)、隠吻類(扁形動物)、ハナギンチャク類(刺胞動物)にも取り組むと記されています(菅島臨海実験所ラボサイト)。
ふつう分類学者は
ひとつの科に一生を捧げます。
それを門のレベルで4つ持っている。
採集の一度の網に
拾える対象がそれだけ増えるということです。
同じ海に潜っても、
持ち帰れる新種の数が変わります。
理由2:極限環境と身近な環境の両方を見ているから。
同サイトでは、
深海や極域といった極限環境と、
砂浜の潮間帯にある砂の隙間の両方が
研究対象として挙げられています。
南極の昭和基地から
三重県の菅島まで守備範囲が伸びる。
深いところは行く人が少ないから未記載が残り、
浅いところは誰も微小な種を見ていないから未記載が残る。
理由は逆ですが、
どちらも空白地帯です。
両端を押さえたことが数に効いたと予測します。
理由3:そもそも未知が圧倒的に多い分野だから。
ラボサイトには
「地球には約200万種以上の生物が既に知られ、まだ知られていない種はその10倍、100倍とも言われています」とあります。
この認識が正しいなら、
新種は探せば出てくるものです。
ボトルネックは見つける側ではなく、
名前をつけられる人の数のほうにある。
だからこそ、
記載する能力を持った人が動くと
数字が一気に伸びる。
70種という数は、
この構造そのものを示していると考えます。
理由4:多毛類が「必要とされながら遅れてきた」分野だから。
同サイトは多毛類について、
環境アセスメントや生態学的研究において頻出するのに
分類学的研究は遅れてきたと記しています。
使う人はいるのに、
整理する人がいない状態です。
この需要と供給のずれが大きいほど、
参入した人の成果は積み上がりやすい。
ただし、これは公表資料からの読みであり、
本人がそう語ったわけではありません。
あくまで推測として書いています。
扱っているグループは動物門で4つ
| グループ | 属する動物門 |
|---|---|
| 多毛類(ゴカイの仲間) | 環形動物 |
| シダムシの仲間 | 節足動物 |
| 隠吻類 | 扁形動物 |
| ハナギンチャク類 | 刺胞動物 |
動物門が違うということは、
体のつくりの設計図から別物だという意味です。
人間とミミズくらい、
あるいはそれ以上に離れています。
これを1人で見るのは
かなり珍しい構えだと言えます。
新種はどうやって「新種」になるのか
見つけて驚いた、では新種になりません。
手順が決まっています。
- 採集して標本にする(採集地・日付を記録)
- 顕微鏡で体の特徴を数える
- 過去に報告された全種の記載と突き合わせる
- どれとも一致しなければ新種として論文を書く
- 学名をつけ、査読を経て公表する
いちばん時間がかかるのは3番目です。
その仲間が過去に何と呼ばれてきたかを
すべて把握していないと、
「一致しない」と言い切れません。
古い論文はラテン語やドイツ語のこともあります。
だから経験の蓄積がそのまま速度になるのです。
記載した新種の例
| 和名 | 特徴 |
|---|---|
| フジキブクレハボウキ | 南極・昭和基地の西、水深9mから(2017年発表) |
| イッスンボウシウロコムシ | 熊野灘の深海。オスが約5mm(2021年発表) |
| カワスナゴカイ | 佐渡島の淡水域から(2026年発表) |
南極、深海、そして川。
並べると環境がまったく重なっていないのが分かります。
この幅が、
70種という数字の中身だと考えられます。
受賞が続いていること
ラボの公式プロフィールには、
次の受賞が記されています。
- ブルーアースシンポジウム2016 若手奨励賞
- 日本動物分類学会 奨励賞(令和5年度=2023年度)
- 日本動物分類学会 若手論文賞(令和7年度=2025年度)
数を出しているだけでなく、
学会側からも評価が続いている状態です。
量と質が両立していると読めます。
よくある質問
Q1. 70種以上というのは正確な数ですか?
ラボの公式サイトに
「今まで70種以上の新種を発見・記載」とあります。
これ以上に細かい内訳は公表されていないため、
正確な総数は分かりません。
Q2. 新種を見つけると賞金は出ますか?
そうした制度についての記載は
公表資料から確認できませんでした。
研究業績として評価される形が中心と考えられます。
Q3. 名前を自由につけていいのですか?
学名は国際的な命名規約に沿う必要がありますが、
その範囲内であれば
記載者が決められます。
実際に昔話や船名が使われた例があります。
Q4. 多毛類の研究者は日本に何人いますか?
具体的な人数は公表資料からは確認できませんでした。
ラボサイトに「分類学的研究は必要とされながら遅れてきた」とあることから、
多くはないと考えられます。
Q5. サイエンスZEROは何時からですか?
2026年8月9日(日)23時30分〜24時00分、
NHK Eテレでの放送です。
タイトルは
「医療・防災・脳の解明につながる!?ゴカイスーパーパワー」。
まとめ
自見直人さんが記載した新種は70種以上。
多毛類に加えて
節足動物・扁形動物・刺胞動物まで扱い、
南極から佐渡島の川までを守備範囲にしています。
数の正体は、
誰も見ていない場所を選んで見ていること。
放送は8月9日(日)23時30分・Eテレ。
「新種を70種」と聞いてから見ると、
話の重みが変わります。