【結論】姫革細工は姫路の革、美吉籠は三木市吉川町の竹籠。どちらも兵庫県指定の伝統工芸品です。
- 姫革=姫路で作られる植物油なめしの牛革
- 美吉籠=三木市吉川町の竹籠。明治18年創始
- 美吉籠の編み方は正倉院の宝物を研究したもの
- どちらも平成5年に兵庫県の指定を受けている
- リポーターはインド出身のサニー・フランシスさん
- 姫革細工と美吉籠それぞれの中身
- この2つを同じ回に並べた意味の考察
- 「姫革細工」と「姫路白なめし革」の違い
- 放送の日時と番組の趣旨
「ニッポンのSHOKUNIN」で取り上げられるのが姫革細工と美吉籠。
どちらも読み方から迷う名前です。
美吉籠は「みよしかご」。
兵庫県の地場産業として県が紹介している工芸品です。
この記事では、それぞれが何なのかを公的な情報から整理します。
【考察】2つを並べた回に共通するもの
ここからは編集部の考察です。
結論を書きます。
革と竹という、素材も産地も違う2つが同じ回に並んでいますが、両者には「外から来たものが土地に根づいた技術」という共通点があると考えています。
理由を6つ挙げます。
理由1:姫路の革は朝鮮半島由来と伝わる
『花田史志』という文献には、神功皇后の三韓征伐の際に連れ戻した者の中に熟皮術に長けた者がいたという記述があるとされます。
但馬の円山川で試したが水質が合わず、南下して播磨の市川で試したところ良好だった——という伝承です(Wikipedia)。
技術が外から入り、土地の水に合わせて定着したという筋書きです。
理由2:美吉籠の編み方は正倉院の研究から生まれた
兵庫県の説明によれば、美吉籠の独自の編目模様は正倉院の宝物のなかに収蔵されている「華籠」の技法を研究したものです(兵庫県)。
華籠は仏具で、大陸から伝わった系譜にあるもの。
ここでも外来の意匠を持ち帰って自分のものにするという形が取られています。
理由3:美吉籠は「よそから来る客」のために生まれた
吉川町では古くから農業の副業として竹籠が作られていました。
それが工芸品になったのは、明治18年に戸田甚之介が竹細工土産品を創作し、有馬の湯治客に販売したのが始まりです。
地元で使う道具ではなく、外から来る温泉客に売るために工芸化した。
この動機は非常にはっきりしています。
理由4:姫路革も今は土産物として残っている
江戸時代以前には全国各地で広く使われていた白なめし革ですが、明治以降に欧米から入った植物タンニンなめし・クロムなめしに押されます。
現在は姫路市内で土産物として扱われる程度とされています。
皮肉にも、外の人が買う形で生き延びた点が美吉籠と重なると考えます。
理由5:どちらも平成5年に指定を受けている
美吉籠の指定年月日は平成5年12月21日。
姫路の革細工も同じ平成5年に県の伝統的工芸品に指定されています。
同じ年に制度へ乗った工芸を並べているのは、制度の側から見ても対になる存在だからだと予測します。
理由6:リポーターが「外から見る人」である
番組表の説明は「インド人目線で伝える」とわざわざ書いています。
取材者自身が外から来た人です。
外から入った技術を、外から来た人が見る。
この構図が企画の核だと考えます。
以上は公開情報からの考察・推測であり、番組の制作意図を確認したものではありません。
美吉籠とは
| 読み | みよしかご |
| 産地 | 兵庫県三木市吉川町 |
| 始まり | 明治18年、戸田甚之介が創作 |
| きっかけ | 有馬の湯治客への土産物として販売 |
| 編み方 | 二本とび網代編み(全国的にも珍しい技法) |
| 意匠の元 | 正倉院の宝物「華籠」の技法を研究 |
| 材料 | 吉川町産の苦竹と淡竹のみ |
| 県指定 | 平成5年12月21日 |
注目したいのは「吉川町から産出される苦竹と淡竹のみを使用」という一文です。
材料の産地まで限定されています。
兵庫県のページには製造者として戸田竹芸店(三木市吉川町有安)が挙げられています。
ただしこのページの更新日は2017年1月5日のため、連絡先などの現況は改めて確認が必要です。
▼ 姫革細工の製品はこちらから探せます。
※製法や表記は商品により異なります。リンク先でご確認ください。
姫路の白なめし革とは
正式には姫路白なめし革細工(ひめじしろなめしかわざいく)。
略称は「姫路革(ひめかわ)」です。
牛の皮を材料に、植物油でなめした革で、色は薄乳白色(薄いベージュ)。
「白靼」「越靼」「古志靼」といった異名でも知られてきました。
製法は次のように紹介されています。
| 工程 | 内容 |
|---|---|
| 1 | 原料の成牛皮を塩漬けにする |
| 2 | 数日間河川に浸し、微生物の作用で毛根をゆるめる |
| 3 | 刃物で毛をこそぎ落とす |
| 4 | 鉋で肉面を梳き、厚さを均一にする |
| 5 | 天日乾燥する |
| 6 | 塩となたね油を加えて空打ちし、日光に晒しながらもみほぐす |
| 7 | 再度、天日乾燥する |
| 8 | 細工しやすい形状に裁断する |
川に浸して微生物に脱毛させるという工程が、いかにも前近代的で印象的です。
薬品ではなく塩となたね油でなめすのがこの革の特徴になります。
誤解しやすい点
ここは注意が必要な部分です。
Wikipediaの記述によれば、県指定の伝統工芸品である「姫路白なめし革細工」と、市販されている「姫革細工」「姫路白革」と称される製品は、しばしば混同されるものの別物だとされています。
| 呼び方 | 説明 |
|---|---|
| 姫路白なめし革細工 | 植物油によるなめし。色は薄乳白色(薄いベージュ) |
| 「姫革細工」「姫路白革」 | 化学処理により白色に加工されたもの、との指摘がある |
ただし、この指摘が載っているWikipediaの記事には出典が不十分である旨のタグが付いています(2018年12月時点)。
断定はせず、そういう指摘があるという形でお伝えします。
番組でどちらを指して「姫革細工」と呼んでいるかは、放送で確認するのが確実です。
放送情報
| 番組 | ニッポンのSHOKUNIN |
| 回タイトル | ★姫革細工・美吉籠 |
| 放送日時 | 2026年8月22日 1:45〜2:00(8月21日深夜) |
| リポーター | サニー・フランシス |
番組表の説明文は「インド出身サニーフランシスさんが様々な職人を訪ねる!伝統工芸品に携わる職人や新たな分野に挑戦する職人をインド人目線で伝える!」となっています。
15分の短い枠です。深夜帯なので、録画を推奨します。
よくある質問
Q1. 美吉籠は何と読みますか?
みよしかごです。兵庫県三木市吉川町で作られる竹籠で、県の地場産業として紹介されています。
Q2. 美吉籠はどこで作られていますか?
兵庫県三木市吉川町です。兵庫県のページには製造者として戸田竹芸店が挙げられています。ただし当該ページの更新日は2017年ですので、現況は直接ご確認ください。
Q3. 「二本とび網代編み」とは?
美吉籠の横編み技法の名称です。兵庫県の説明では「全国的にも珍しい独特の技法」とされています。正倉院の宝物である華籠の技法を研究して生まれたものです。
Q4. 姫路革はなぜ白いのですか?
植物油でなめす製法によるもので、色は薄乳白色(薄いベージュ)と説明されています。塩となたね油を使い、日光に晒しながらもみほぐす工程が含まれます。
Q5. 姫路革は今も作られていますか?
明治以降に欧米式のなめし技術が広まった結果、現在は姫路市内で土産物として扱われる程度と説明されています。生産規模は往時とは大きく異なるようです。
Q6. サニー・フランシスさんとは?
1964年インド・ケララ州生まれの俳優・ラジオパーソナリティです。1986年に来日し、『ここがヘンだよ日本人』への出演で知られます。この番組では兵庫県内の職人を訪ねるリポーターを務めています。
今後の見通し
どちらの工芸も、担い手の数は決して多くありません。
美吉籠については兵庫県のページに製造者が1軒だけ記載されています。
こうした番組の役割は、存在を知る人を増やすことにあると考えます。
15分という短い枠でも、名前を覚えて帰る人が増えれば意味があります。
インバウンドが増えるなか、外国出身のリポーターが伝えるという形式も今後さらに広がると予測します。
まとめ
美吉籠は兵庫県三木市吉川町の竹籠。明治18年に戸田甚之介が有馬の湯治客向けに創作したのが始まりで、編み方は正倉院の華籠を研究したものです。
姫路の白なめし革は、塩となたね油でなめす植物油なめしの革。
朝鮮半島由来の技術が播磨に定着したという伝承を持ちます。
素材はまるで違いますが、どちらも外から入ったものが土地に根づいたという点で共通しています。
それを外から来たリポーターが訪ねる——それがこの回の面白さになりそうです。