【結論】福島智さんは、目が見えず耳も聞こえない「盲ろう者」として、世界で初めて大学の常勤教員になった研究者です。専門はバリアフリー教育と障害学。
- 1962年12月25日生まれ、兵庫県神戸市の出身
- 3歳で右目、9歳で左目を失明。18歳で聴力を失い、全盲ろうとなった
- 1983年、盲ろう者として日本で初めて大学に入学している
- 2008年、盲ろう者として世界で初めて大学の常勤教員になった
- 会話の手段は、母・令子さんが考案した「指点字」
- 放送は2026年8月24日(月)20:00〜 NHK Eテレ「ハートネットTV」
NHK Eテレ「ハートネットTV」に、盲ろうの大学教授・福島智さんが登場します。
「盲ろう」とは、目と耳の両方に障害がある状態のことです。
その状態で大学の教員をしている、と言われても、どういう経歴でそこに到達したのかは番組表からは分かりません。
公開されている情報を年表にして整理します。
- 福島智さんの生い立ちと、視力・聴力を失った時期
- 学歴と職歴の年表
- 受けている賞と、研究しているテーマ
- 肩書きの表記が資料によって違う理由
【考察】なぜ研究の対象が「自分自身」になったのか
ここからは編集部の考察です。
福島さんの経歴を並べていて、いちばん目を引くのは博士論文のタイトルでした。
「福島智における視覚・聴覚の喪失と『指点字』を用いたコミュニケーション再構築の過程に関する研究」。
論文の題に、自分の名前が入っています。
結論から言うと、
福島さんの場合、当事者であることと研究者であることが分けられない構造になっているのだと考えます。
そう考える理由を6つ挙げます。
理由1:論文の題名が事実として異例である
これは推測ではありません。
福島さんは2008年5月に東京大学から博士(学術)の学位を論文博士として取得しており、その博士論文の題名に「福島智における」という語が入っています。
研究の対象が、自分の経験そのものだということです。
理由2:研究テーマのキーワードに「指点字」が並んでいる
東京大学の教員紹介ページには、研究テーマのキーワードとして「障害、盲ろう者、障害学、コミュニケーション、指点字、通訳、情報、教育、リハビリテーション、能力主義」が並んでいます(東京大学 UTokyo FOCUS)。
指点字は、福島さん自身が日常で使っている手段です。
使っているものを、そのまま研究している形になります。
理由3:段階的に失っている
福島さんは生まれつき盲ろうだったわけではありません。
3歳で右目、9歳で左目を失明し、18歳で聴力を失っています。
この順番には意味があると考えます。
18歳までの音の記憶が残っているため、自分の声は聞こえなくてもよどみなく発話できると説明されています。
実際、講義や講演では声を出して話しています。
理由4:失聴の直後に「日本初」の道へ進んでいる
時期を並べると、18歳で失聴し、1982年3月に筑波大学附属盲学校高等部を卒業、1983年に大学へ入学しています。
この入学が盲ろう者として日本で初めてでした。
ここは編集部の見立てですが、前例がないということは、方法を自分で作るしかないということです。
その作業自体が、のちの研究の土台になったと考えます。
理由5:研究の枠が「福祉」ではなく「障害学」である
福島さんの専門はバリアフリー教育、障害学(Disability Studies)、障害者福祉、アクセシビリティとされています。
障害学は、障害を個人の側の問題ではなく、社会の側の条件として扱う考え方です。
研究テーマのキーワードに「能力主義」が入っている点も、その方向を示していると見ています。
理由6:役職も、当事者としての立場と重なっている
福島さんは社会福祉法人 全国盲ろう者協会の理事であり、世界盲ろう者連盟のアジア地域代表でもあります。
大学の研究者としてだけでなく、当事者団体の側にも席を持っているわけです。
研究と活動が地続きになっていることが分かります。
ここから先は予測です。
今回の回は「福祉をひらく」というインタビューシリーズで、サブタイトルが「苦悩と、生きる」です。
番組の紹介文には「障害とは何かを示す新たな考え方とは?」とあるので、上に書いた障害学の視点が中心になると見ています。
以上はあくまで編集部の考察です。
福島さんが「当事者と研究者は分けられない」と述べた記述は確認できていません。
福島智さんの基本プロフィール
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名前 | 福島 智(ふくしま さとし) |
| 生年月日 | 1962年12月25日 |
| 出身 | 兵庫県神戸市 |
| 学位 | 博士(学術)/東京大学・論文博士・2008年 |
| 専門 | バリアフリー教育、障害学、障害者福祉、アクセシビリティ |
| 所属 | 東京大学 先端科学技術研究センター(学際バリアフリー研究分野) |
| 役職 | 全国盲ろう者協会 理事/世界盲ろう者連盟 アジア地域代表 |
| 会話の手段 | 指点字 |
もうひとつ、あまり知られていない点があります。
福島さんは神戸の出身なので、日常では関西弁で話します。
またピアノの演奏も行うと記載されています。
福島さんの考えをもっと読みたい方向けに、著書を探せるリンクを置いておきます。
▼ 福島智さんの著書はこちらから
※在庫や価格は変動します。リンク先でご確認ください。
視力と聴力を失っていった順番
まず、生い立ちの部分を時系列に置きます。
| 時期 | できごと |
|---|---|
| 1962年12月25日 | 兵庫県神戸市に生まれる |
| 生後5か月 | 眼病を患う |
| 3歳 | 右目を失明 |
| 9歳 | 左目を失明 |
| 18歳 | 特発性難聴で失聴し、全盲ろう者となる |
この年表で重要なのが18歳という時点です。
それまでに音を聞いていた期間が18年あるので、言葉の音の記憶が残りました。
そのため自分の声は聞こえないまま、話すことはできるという状態になっています。
そして失聴後の会話の手段になったのが指点字です。
これは母親の令子さんが考案したもので、のちに全国の盲ろう者に広がり、盲ろう者のコミュニケーション手段の新たな選択肢になりました。
学歴と職歴の年表
ここからが「盲ろうの大学教授」に至る道のりです。
| 年月 | できごと |
|---|---|
| 1982年3月 | 筑波大学附属盲学校 高等部普通科を卒業 |
| 1983年 | 盲ろう者として日本で初めて大学へ入学(東京都立大学 人文学部) |
| 1987年3月 | 東京都立大学 人文学部 人文科学科 教育学専攻を卒業 |
| 1989年3月 | 同大学院 修士課程を修了 |
| 1992年3月 | 同大学院 博士課程 単位取得満期退学 |
| 1996年7月 | 東京都立大学 人文学部 助手 |
| 1996年12月 | 金沢大学 教育学部 助教授 |
| 2001年4月 | 東京大学 先端科学技術研究センター 助教授 |
| 2007年4月 | 同センター 准教授 |
| 2008年5月 | 東京大学より 博士(学術)の学位を取得(論文博士) |
| 2008年10月 | 同センター 教授。盲ろう者として世界初の常勤大学教員 |
年表を見ると、1992年に博士課程を単位取得満期退学したあと、1996年に助手になるまで4年あることが分かります。
この期間には、筑波大学附属盲学校の非常勤講師(1988年〜)や、国立身体障害者リハビリテーションセンター学院の手話通訳専門職員養成課程の非常勤講師(1993年〜)などを務めています。
受けている賞と、著書
| 年 | 賞・できごと |
|---|---|
| 1996年 | 母・令子さんとともに吉川英治文化賞を受賞 |
| 2003年 | 米誌 TIME(2003年4月28日号)で「アジアの英雄」に選ばれる |
| 2008年 | NHK「課外授業 ようこそ先輩」の回が日本賞グランプリを受賞 |
| 2015年 | 本間一夫文化賞を受賞 |
| 2022年11月4日 | 生い立ちを描いた映画『桜色の風が咲く』が公開 |
著書も複数あります。
『渡辺荘の宇宙人-指点字で交信する日々』(素朴社・1995年)、『盲ろう者とノーマライゼーション』(明石書店・1997年)、『生きるって人とつながることだ!』(素朴社・2010年)、『盲ろう者として生きて』(明石書店・2011年)、『ぼくの命は言葉とともにある』(致知出版社・2015年)などです。
誤解しやすい点
| 誤解されやすい書かれ方 | 確認できること |
|---|---|
| 生まれつき盲ろう | 3歳で右目、9歳で左目、18歳で失聴と段階的 |
| 話すことができない | 声を出して話す。18歳までの音の記憶があるため |
| 指点字は本人が考案 | 考案したのは母・令子さん |
| ずっと東大にいる | 都立大 → 金沢大学 → 東大という順番 |
| 肩書きは1種類 | 資料により「教授」「特任教授」の表記がある |
よくある質問
Q1. 福島智さんの読み方は?
ふくしま さとしです。
Q2. 何歳ですか?
1962年12月25日生まれなので、2026年8月の放送時点では63歳です。
誕生日を迎える12月25日に64歳になります。
Q3. 「盲ろう」とはどういう状態ですか?
視覚と聴覚の両方に障害がある状態を指します。
福島さんは全盲ろう、つまり視力・聴力ともにない状態です。
Q4. どうやって会話しているのですか?
指点字という方法です。
相手が福島さんの指を点字タイプライターのキーに見立てて打ち、文字情報を伝えます。
返事は福島さんが声を出して話します。
Q5. 映画になっているのですか?
はい。福島さんの生い立ちを描いた映画『桜色の風が咲く』が2022年11月4日に公開されています。
Q6. 放送はいつですか?
2026年8月24日(月)20時00分から20時30分、NHK Eテレの「ハートネットTV」です。
タイトルは「インタビュー 盲ろうの大学教授・福島智〜苦悩と、生きる〜」で、福祉をひらくというインタビューシリーズの回になります。
まとめ
福島智さんは1962年に神戸で生まれ、9歳で失明、18歳で失聴した盲ろう者の研究者です。
1983年に盲ろう者として日本で初めて大学へ進学し、2008年には盲ろう者として世界で初めて大学の常勤教員になりました。
専門はバリアフリー教育と障害学で、博士論文の題名には自分の名前が入っています。
会話に使っているのは母・令子さんが考案した指点字です。
2026年8月24日(月)20時からのNHK Eテレ「ハートネットTV」で、本人のインタビューが放送されます。