ALCEST 【KODAMA】 Review

[Category:Artist/DIsc Review・Artist: ALCEST ・Writer:もりき(ライター)]



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黄泉からの黒き蠢く慟哭、剥がれ落ちるがごとく深紫の静寂たる木霊なり・・・。


ALCEST / Kodama (2016)
(2016/9/30)
1. Kodama
2. Eclosion
3. Je Suis D'ailleurs
4. Untouched
5. Oiseaux De Proie
6. Onyx


2017年4月に二度目の来日公演を行うフランスのポストブラックメタルALCESTの昨年に発売された最新作、「KODAMA」をこのMETAL JAPANにてレビューを行いたいと思う。

ブラックメタルと聞くとまるで人間の負の感情をさらけ出したかのようなシャウト、人間離れした超高速ブラストドラムを思い浮かべる方々も多いであろう。
しかしながらこのポストブラックというジャンルはそれからさらに派生している。ブラックメタルのシャウトに高速で奏でられるドラム、それに加えてシューゲイザーの様なメロディアスさを加えているものであるのだ。

主なポストブラックメタルバンド


Numenorean(From CANADA)


Sólstafir(From ICELAND)

これらの音楽の様に、ブラックメタルの要素を取り入れながらも、幻想的かつ実験的な音楽を聴くことができる。

さて、このALCESTの「KODAMA」はブラックメタルのシャウトやドラムやギターのトレモロリフを取り入れながら、妖しい雰囲気を感じさせる一枚に仕上がっている。このジャンルのパイオニア的存在である彼らのサウンドはメタルファンだけではなく、他の音楽ジャンルを普段聴いている人にも何か心に訴えかけていくものがあるに違いない。バンドの中心であるNeigaが描く人間の喜怒哀楽の感情が絶え間なく波のように押し寄せてくる。

Alcestのサウンドは、Neigeが幼少の頃から夢見てきた、『Faily Land』という空想世界への憧憬にコンセプトを持つ。その空想世界が他人に理解され辛いため、そうした心情を音楽として表現しているとNeigeは語る。歌詞はすべてフランス語で書かれているが、これは「なかなか英語では表せない細かい描写を伝えられるから」だという。(Wikipediaより)



「KODAMA」においては、日本の映画「もののけ姫」にインスパイアを受けて制作された。一聴してみるとまるで日本文化独特の神道や仏教の様に神々しい、何か得体のしれないものに触れていく感覚に包まれていくのだ。例えるなら、神社やお寺を訪れた時の様に神経が張り巡らされ、神様が存在する場所へお邪魔する時のちょっとした緊張感があるのかもしれない。実際にバンドも前回はお寺で演奏を行った。

タイトル



僕自身も過去に有名な日本のパワースポットである出雲大社や鎌倉や高野山へ足を運んだことがあるが、やはり神様や他の霊的な畏怖のある存在を感じるような感覚に襲われた。

タイトル



リードトラックの一曲目「KODAMA」ではゆったりしたミドルテンポの曲調で幕を開ける。ギターのテンションコードの響きがより一層不思議なメロディを聴かせてくれる。まるで紅葉のお寺にお参りに来た時の様な気持ちにも感じさせてくれる。

続く二曲目「Eclosion」ではスピードアップ!Neigaのシャウトも聴くことができる。古来日本には海や山など自然を神様として敬う風習がある。海や山は人間に食べ物や温泉といった恩恵を与えてくれるが、時には火山や津波といったように人間に牙をむくこともある。ツーバスやシャウトが顔を出すパートにおいては自然崇拝への畏敬の念が込められている様にも思う。

「Je Suis D'ailleurs」ではまさに負の感情を爆発させたようなデスヴォイスを聴くことができる。前述した自然への畏怖の念だけではなく、後半では優しく包み込むような展開にある種のカタルシスが感じられる。

続く「Untouched」は壮大な光に包み込まれていくような優しさを含んだロックバラード。まるで飛行機の窓から太陽が昇っていくところを見た時の様に、優雅でありながらどこかワクワクするような展開の一曲。

そして五曲目はこのアルバムのハイライトともいえる「Oiseaux De Proie」だ。ミドルテンポでありながらも力強いドラムとこれからの展開に胸を躍らせんばかりの前半、そこからはちきれんばかりに慟哭しそうなシャウトからなだれ込むメタルパートではまるでDIR EN GREYの様な宗教色を強く表現している。ラスト二分間における疾走パートは必聴!

最後のインストである「Onyx」はこれからまた新たな物語の始まりを予感させる締め方である。

一曲一曲の長さはあるが、それにしてもあっという間に聴けてしまう。プログレッシブメタルとは違ったまた複雑かつ綿密な曲構成はもちろんではあるが、何回も聞くたびに新たな発見があるからおもしろい。デスヴォイスが苦手な人でも一度は手に取って聴いてほしい。そして四月の来日公演もこれらの楽曲がどのような表現になるのかが興味深い。

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Oiseaux De Proie










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